【初めての法人決算】注意すべき3つのポイント
法人の決算日は会社ごとに異なりますが、やっぱり多いのは3月決算。この3月に初めての決算を向かえる会社も多いと思いますが、初めての法人決算を迎える方に!注意すべき3つのポイントについて税理士が解説します。
相談者
昨年起業して、いよいよ今月末で最初の決算日を向かえることとなります。そもそも決算は何をすれば良いのでしょうか?記帳はだいたいできていると思います。
村田税理士
会社は決算日から2か月以内に、会社の事業年度内の売上・経費を集計して利益の金額を算出し、それに対する税金額を計算して税務署等に申告、納税する必要があります。
相談者
会社設立後に、税務署、都道府県税事務所、市区町村に届出を出しました。そこに税金の申告をするのですね。どんな書類を作成、提出する必要があるのですか?
村田税理士
主な書類は以下のものです。最低でも15枚くらいは必要です。
(1)税務署
①決算書
②申告書別表1,2,4,5(1),5(2),6(1),15,16
③適用額明細書
④勘定内訳書
(2)都道府県税事務所
①決算書
②第6号様式,別表9,別表4の3(東京23区の場合のみ)
(3)市区町村(東京23区は申告不要)
①決算書
②第20号様式
(1)税務署
①決算書
②申告書別表1,2,4,5(1),5(2),6(1),15,16
③適用額明細書
④勘定内訳書
(2)都道府県税事務所
①決算書
②第6号様式,別表9,別表4の3(東京23区の場合のみ)
(3)市区町村(東京23区は申告不要)
①決算書
②第20号様式
相談者
ずいぶんいろんな書類を作成する必要があるんですね、、
村田税理士
決算日までの記帳データを元にこれらの書類を作成しますので、元となる記帳がしっかりしていないと誤った申告、納税をすることになるので注意が必要です。
ポイント1:発生主義で記帳する
村田税理士
業績のほうはどうですか?目標の売上には届きましたか?
相談者
初年度にしては頑張ったほうだと思います。2月に納品したWebサイトの入金が4月末なので、それが3月に入金されていれば目標の売上まで届いたんですけどね。
村田税理士
売上や経費は「発生主義」で記帳しますので、その案件は2月の売上として記帳するものになります。
相談者
え?3月にお金が入ってないのに、売上として計算されその分の税金を支払うのですか?
村田税理士
はい、売上・経費は、納品・サービスを提供した日付を基準として記帳しますので、入金や支払いが4月以降の売上・経費も、3月以前に発生したものはすべて記帳に含めます。
相談者
なるほど、経費のほうも3月発生分まで記帳に含めるのであれば納得です。クレジットカードの明細は確定するのがだいぶ先になるので忘れちゃいそうですね。
村田税理士
クレジットカード明細はWebで利用明細が閲覧できるように設定しておけば、紙で利用明細が届くよりも早く確認できるので、今から設定しておくとよいです。
村田税理士
ちゃんと発生主義で売上・経費を計上しているかどうかは、税務調査でも請求書等の納品日付などでチェックされるポイントですので、決算日前後の売上・経費の記帳タイミングには特に注意してください。
例えば事務所の家賃は前払いの場合が多いので、3月末に支払いしたものは「前払費用」となりますので、3月決算の経費にはなりません。
例えば事務所の家賃は前払いの場合が多いので、3月末に支払いしたものは「前払費用」となりますので、3月決算の経費にはなりません。
ポイント2:固定資産に計上するものがないかチェック
相談者
こうして記帳してみると結構利益がありますね、、知人から車を買えば節税になると聞きました。3月に100万円の車を買えば100万円の経費ですね。
村田税理士
車は購入した時には全額経費にはなりません。
相談者
え、でも発生主義だから車を購入した日付で経費ですよね?
村田税理士
車は購入してから何年間も使いますよね?
相談者
村田税理士
他にも、パソコンや備品で10万円以上のものを購入している場合、固定資産に計上すべきものとなります。中小企業では税制優遇制度もあるため、固定資産として記帳したものも、30万円未満であれば全額購入時の経費とできます(年間300万円まで)
ポイント3:税制メリットを受けられるかチェック
相談者
ここまで記帳ができて売上・経費の金額が確定すれば、法人税率も決まっていますし決算は税理士に頼まなくても自分でできるかなと思いますが。
村田税理士
御社では従業員を雇用していましたよね?
相談者
はい、ちゃんと正社員として社会保険にも加入しています。
村田税理士
それですと「所得拡大促進税制」の適用を受けることができます。ざっくりと言うと、前年よりも給与の支払額・平均給与の額が増加していると、中小企業では給与支払額増加額の10%or法人税額の20%いずれか低い金額の税額控除を受けられるというものです。詳細はこちら
村田税理士
設立初年度ですと前年の給与は初年度給与の70%として計算されますので、従業員を雇用して利益が出ている法人であれば「所得拡大促進税制」のメリットを受けられます。
相談者
これは大きい!やっぱり専門家に見てもらったほうが安心ですね。
村田税理士
決算申告で作成する書類は量も多く複雑ですので、税金金額が正しくできたとしても各種書類がしっかり作成されていないとマイナス評価となる場合があります。
銀行融資の相談で税金申告書を提出した場合にしっかりとした決算申告書が作成されていないと評価される場合もありますので、決算申告書の作成は専門家に依頼したほうが安心ではあります。
銀行融資の相談で税金申告書を提出した場合にしっかりとした決算申告書が作成されていないと評価される場合もありますので、決算申告書の作成は専門家に依頼したほうが安心ではあります。
以上、いかがでしたか。
決算書類は数も多いし専門的な知識がないとなかなか大変そうですね。Bizerでは決算申告代行のサービスも行っておりますので、こちらも是非ご活用ください。
また、次回3/16は記帳関する6つのポイントをお伝えします。今回のお話にも出てきてましたが、意外と直前での修正やミスなど多いようです・・!お楽しみに!
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村田 光平
公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。