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もうすぐ新生活!4月から新入社員を受け入れる方へ

2016年も3月に突入。新しく新入社員が入社した時に色々な手続きが発生することは何となくご存知ですよね?ざっくりとわけると

①法律上必ずしなければならないこと
②(大企業を中心に)リスク管理や福利厚生的観点で任意的に行っていること

この2つに分かれます。

今回は少人数で運営している会社であっても、新入社員受け入れ手続きで法律上最低限行わなければいけない5つのことをご説明したいと思います。

1.労働条件通知書または雇用契約書の交付

労働基準法では、社員を新たに採用する場合、賃金や勤務時間など一定の労働条件を書面により明示することを義務付けています。この義務を果たすため、会社から本人へ交付する書面が労働条件通知書です。

(ただし、実務上は社員と会社で相互に労働条件を確認したことの証拠として、労働条件通知書に署名ないし記名押印欄を設け、雇用契約書として取り交わすことも多いです。)

後日労働条件についてトラブルになった場合に備え、雇用契約書方式にしておくことが望ましと言えるでしょう。

2.入社時の健康診断

労働安全衛生法により、新入社員に対しては雇入時に健康診断を行うことが会社には義務付けられています。通常健康診断に必要な費用は、会社が負担します。(勤務時間中に健康診断に行ってもらう場合は、不就労時間を減給することは法律上構いませんが、行政指導としては減給しないことが望ましいとしています。)

なお、本人から入社前3か月以内に実施した健康診断書の提出を受けた場合は、入社時の健康診断を省略することが可能です。

3.扶養控除等(異動)申告書

新入社員には、扶養控除等(異動)申告書を書いてもらいましょう。この書類は、本人の家族構成および税法上の扶養関係について申告してもらう書類で、給与計算における源泉所得税の計算根拠や、社会保険の扶養認定にも関係する重要な書類です。

また、扶養控除等(異動)申告書には、マイナンバーを書いてもらう必要があります。(実務上は、扶養控除等(異動)申告書への記載によって新入社員及びその家族のマイナンバーを収集することになる会社が多いと想定されます。)

したがって、マイナンバー情報を含む扶養控除等(異動)申告書は、金庫や鍵付きのロッカーなどで厳重に保管しましょう。

なお、マイナンバー管理のためのクラウドサービスなどを契約している会社の場合は、扶養控除等(異動)申告書のマイナンバー欄は空白にし、余白に「マイナンバーは別途管理」と書いておけば問題ありません。

4.雇用保険・社会保険への加入

新入社員を迎え入れるに当たり、たとえ最初の数か月が試用期間であったとしても入社当初から雇用保険および社会保険に加入させることが必要です。

長期的な雇用関係を前提として新入社員を雇用する場合は、必ず入社日から雇用保険および社会保険に加入させましょう。(雇用保険の加入が免除されるのは30日以内、社会保険の加入が免除されるのは2か月以内の短期雇用の場合のみ)

雇用保険は会社を管轄するハローワーク、社会保険は会社を管轄する年金事務所が加入の窓口となります。

※これまで役員だけの会社で、今回が初めての社員受け入れの場合

まず労働保険の成立手続が必要となります。ハローワークへ行く前に、会社を管轄する労働基準監督署へ行き、労働保険の成立手続を取りましょう(雇用保険の加入は労働保険の成立が前提のため)。

労働保険の成立のために作成する書類はインターネット上でダウンロードはできず、労働基準監督署で配布している複写式の専用用紙への記載が必要となりますので、労働基準監督署へ行って用紙ももらい、その場で加入手続をするのが早いと思います。)

5.法定帳簿の作成

法定帳簿とは、「労働者名簿」「出勤簿」「賃金台帳」の3つです。通称「法定3帳簿」とも呼ばれているもので、労働基準法の作成義務が課されています。

労働者名簿:社員の氏名、住所、入社日などが記載された、いわば社員の個人カルテ
出勤簿:日々の勤怠を記録した帳簿
賃金台帳:は毎月支払った賃金の記録簿

労働基準監督署の監査があった場合にはこれらの帳簿は真っ先にチェックされますし、出勤簿で勤怠記録をつけることは、正しい給与計算を行うために不可欠なことです。

新入社員が入社したら、必ず当該社員の法定3帳簿を作成するようにしましょう。

なお、実務上は必ずしも紙である必要はなく、すぐに打ち出すことができる状態になっていれば、PC内の管理でも差し支えません(出勤簿はタイムカードで代用することも可)

また、筆者が確認している限りでは、給与計算freeeが、給与計算のために入力したデータを加工して、法定3法簿全てを自動生成する機能を持っていますので、このようなソフトを活用して法定帳簿を管理し、バックオフィスの手間を減らすのも一案です。

まとめ

以上が、新入社員に対して会社が最低限行わなければならない対応となります。
何から手を付けて良いか迷っていらっしゃる場合は、まずはこの5項目を確実に対応するようにしましょう

榊 裕葵

ポライト社会保険労務士法人 社会保険労務士。上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務後、社会保険労務士として独立。勤務時代、常に経営者の側で仕事をしてきた経験も活かしながら、スタートアップ企業の労務管理体制の構築や、助成金申請の支援を積極的に行っている。