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車を買っても節税効果はあまり期待できない!? 全額経費にならない「固定資産の減価償却」について

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車の購入の節税効果は?

 

今期の決算は思っていたよりも利益が出そうだから、その分支払う税金も多くなりそう。

 

できるだけ支払う税金を少なくできないか、知り合いの経営者に相談したんです。そしたら、中古の車を購入すれば1年で全額経費になるから節税できるって言われて、念願の外車を購入することにしました。

 

でも、税理士に自慢したら外車の購入費は、今期の経費として全額を経費計上することはできないって言われてしまって・・・。一体どういうことなのでしょうか?

 


相談者
今期の決算は思っていた以上に利益が出そうなので、思い切ってこんな外車を買ってしまいました。

車

村田税理士
ずいぶん高そうな車ですね、資金繰りは大丈夫ですか?
相談者
まぁ、中古なので500万円ですね。知り合いの経営者に聞いたら、中古の車は1年で全額が経費になるっていうんで節税になるんかなって思いまして・・・。
村田税理士
その500万円、今期の経費になるのは全額ではありませんよ 
相談者
えっ、そうなんですか?でも、知り合いの経営者は1年で全額経費になるって断言していましたよ?
村田税理士
厳密に言うと「12か月で全額経費になる」が正しいですね。
相談者
ということは、決算月に購入した この500万円の車は・・・
村田税理士
今期の経費になるのは「1/12」だけってことになりますね。
相談者
ちょっと、これはどういう計算なんですか?

 

 

固定資産は「減価償却」という会計処理が必要(固定資産って? )


村田税理士
今回購入した車、500万円で買いましたが何年間も使用しますよね?
相談者
はい、さすがに毎年買い替えるものではないので。
村田税理士
今回の車のように長期間(1年を超えて)使用する目的で、かつ、10万円以上するモノを会計上では「固定資産」と言います。

購入したモノが固定資産に該当する場合は、「減価償却」という会計処理をして費用を計上します。

今回のケースで例えると、500万円支払って購入したのは今期だけども、複数年使うのであれば複数年の期間に渡って経費にしましょうという会計処理をします。これを「減価償却」と言います。

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固定資産は何年かけて経費計上するの?(耐用年数とは?)


相談者
なるほど、数年間使用するものは数年間で経費にするって話は何となくイメージはつきました。でも、例えばこの車、何年間使用するかなんて分からないのに、どうやって今期の経費にする金額を決めれば良いのですか?
村田税理士
会社の独自の判断で、会社ごとに異なった固定資産の使用する見込み年数を決定してしまうと、利益操作ができてしまう可能性があるので、

税法では一律、乗用車(軽自動車以外)だったら6年というように、固定資産の種類ごとに使用見込み年数が設定されています。この税務署が定めた使用見込み年数を「耐用年数と言います。

【参考】(国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表)

相談者
なるほど、車種とかによる違いは細かくは定められていないんですね。中古車の場合、明らかに使用年数は短そうです。
村田税理士
中古の場合は、購入時点までの使用年数を考慮して、残りの使用見込み年数を計算します。

【参考】 (国税庁タックスアンサー No.5404 中古資産の耐用年数)

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20%に相当する年数

(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。

村田税理士
法定耐用年数が6年で経過年数が5年の中古車の場合は

(1)法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数
    6年-5年=1年

(2)経過年数10年の20%に相当する年数
    5年×20%=1年

よって耐用年数は、「2年」ということになります。



耐用年数がわかったところで、車の減価償却を実際に計算してみましょう。

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減価償却の計算方法


村田税理士
経費を計上するための減価償却には「定額法」と「定率法」という計算方法があるのですが、車の場合は「定率法」で計算していきます。
耐用年数4年の軽自動車を100万円で購入した場合、1年後にはいくらになりますか?
相談者
車って、乗り続けるとエンジンやブレーキなどが劣化するし、中古になったとたんに新車とは違って、すぐに価値が下がるんですよね。
村田税理士
そうなんです。単純に100万円÷4年で毎年25万円ずつの定額が経費になるのではなく、はじめの年ほど経費の計上額は大きく、経過年数にともなって額が減少していきます

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村田税理士
100万円の軽自動車は、1年目は50%の50万円が経費になり、2年目は残りの50万円に対して50%の25万円が経費になる。というように耐用年数ごとに定められた%(これを「償却率」と言います)を掛けていくことで、毎年の経費になる金額、減価償却費を計算します。

 

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【参考】 (耐用年数表)

 

 

相談者
なるほど、すぐに価値が下がっていくのと同じように毎年経費にする金額が決まっていくのですね。

 

 

村田税理士
この耐用年数表、平成19年と平成24年に税制改正されました。そのため、平成19年に250%定率法という%だったのが平成24年に200%定率法という%に改定されているので間違えないようにしてください。
相談者
で、今回の中古車だと耐用年数が2年だから、この耐用年数表の定率法の償却率(%)を使うので、100%を掛けることになるのでしょうか?
村田税理士
はい。ただし、減価償却の計算はその固定資産を使用開始してから月割り計算(1か月未満の端数は切り上げ)するため、

決算月に購入した中古車は
500万円 ✕ 100% ✕ 1/12 =416,666円

この「416,666円 」が、今期の経費となる減価償却費です。
相談者
なるほど!残りの460万円くらいは今期の経費にはならない。ということは、それだけ利益が増えて税金が増えてしまうということですね。
村田税理士
はい、決算月に固定資産を購入しても1か月分しか減価償却できないので節税効果は低く、購入代金の支払いで資金繰りが苦しくなってしまいますので、大きな買い物をする場合は節税効果をきちんと専門家に相談するのがよいですね

村田 光平(むらた こうへい)

公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。