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社宅制度で節税?社宅の節税効果を検証してみる!

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前回の社宅のコラムでは社宅制度について一通り理解できたけど、いざ社宅制度を導入しようと思ったとき、いったいいくらの節税になるのかとか、水道代とかどうすればいいんだっけとか、実務的なところでいろいろ分からなくなったので教えていただけますか?

相談者
前回の社宅のコラムを見て、ウチの会社でも社宅制度を導入しようと思いまして。
村田税理士
こちらのコラムですね 

​会社も従業員もハッピーに♪社宅制度の正しい使い方
https://bizer.jp/archives/1362

相談者
はい、で、従業員から社宅制度にするといくらの節税になるの?と聞かれまして。

1.社宅の節税効果を検証してみる

村田税理士
ちょっとシミュレーションしてみましょう。社宅導入前後の従業員の給与などを教えてください。
相談者
考えているのは、現在の基本給30万円を5万円下げて25万円にして、その分、社宅の家賃10万円のうち5万円は会社負担にしてあげようと思ってまして。
村田税理士
こういうことですね。

相談者
そうです。従業員は基本給が下がるっていうので何か嫌だなと言っていたので、ちゃんと節税効果を説明してあげたいなと思って。

村田税理士
社宅を導入する前は社会保険料や所得税などを支払った後の手取り金額から10万円の家賃を支払っていましたが、社宅を導入すると、基本給が5万円下がった分、社会保険料や所得税が少なくなり、その後の手取り給与から5万円の家賃を支払うこととなります。

東京都40歳未満扶養家族なしの場合、残業代等は入れていない


村田税理士
基本給5万円の減少により、社会保険料約12%と所得税・住民税の減少で、だいたい20%くらいの節税効果になります。
相談者
基本給が5万円下がったけど、家賃支払い後の手取り金額は1万円くらい増えるんですね。

相談者
なるほど、イメージできました。どちらも10万円の家賃を負担しているけれど、

(社宅導入前)税金支払い後の手取り給与から家賃10万円を支払う
(社宅導入後)社宅費5万円は税金支払い前の収入から支払い、社会保険料等を節税。その後の手取り給与から残りの5万円を支払う。

こういうイメージですね。

村田税理士
そのとおりです。これで従業員の方にもばっちり説明できますね。

2.敷金や水光熱費とかはどうなるの?

相談者
それで、さっそく社宅の契約をしようと思ったらいろいろ分からないことが出てきまして、、
村田税理士
前回のコラムにあるように、会社が賃貸契約をする必要がありますよ。
相談者
はい、そこはOKですが、敷金とか火災保険料って会社が払うのか従業員が払うのか、どっちなんだろうって?
村田税理士
それは会社ですね。賃貸契約者は会社なので会社が支払うものとなりますこれらの費用を従業員が支払っている場合、契約名義は会社だけど、実態としては個人が賃貸契約している。と見られて社宅として認められないリスクがあります
相談者
あと、毎月の家賃と一緒に水光熱費も請求されるのですが、これは会社宛に請求されるので会社の経費ってことでよいですよね?

村田税理士
それは従業員が負担するものとなりますね。下記は国税庁で役員給与に該当するものを記載したものとなりますが、会社が負担する住宅の光熱費は、役員等個人に対する経済的として給与という扱いになりますので注意が必要です。

会社が賃貸契約した場合

【国税庁 法人税法基本通達の法令解釈通達】詳細はこちら

(債務の免除による利益その他の経済的な利益)

9-2-9 役員給与に該当するものとして、役員等の個人的費用を会社が負担するものを定めています。

(10) 役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額

(継続的に供与される経済的利益の意義)

9-2-11 令第69条第1項第2号《定期同額給与の範囲等》に規定する「継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」とは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるものをいうのであるから、例えば、次に掲げるものはこれに該当することに留意する。

(4) 9-2-9の(10)に掲げる金額で毎月負担する住宅の光熱費、家事使用人給料等(その額が毎月著しく変動するものを除く。)

相談者
むむむ、これは間違えそうですね。
村田税理士
もう1つ、社宅で間違えやすい点ですが、記帳の際に会社が支払う10万円の家賃は消費税の非課税取引となります。従業員から徴収する社宅費用5万円は雑収入で記帳する場合が多いと思いますが、こちらも消費税の非課税取引となります。

会計ソフトではデフォルトでは消費税の課税取引として記帳されることが多いと思いますのでご注意ください。

村田税理士
余談ですが、個人事業主が自宅家賃を家事按分する記帳でも、消費税の非課税取引となっていない誤りは多いですね。
相談者
なるほど、社宅を導入してからの流れも具体的にイメージができました。

以上となります。社宅制度を活用して、従業員も会社もハッピーに!是非社宅制度、検討してみてください。

村田 光平

公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。