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会社の義務です!従業員が10人以上になったら会社がやらなければならないこと(2)—労務編

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前回のコラム「会社の義務です!従業員が10人以上になったら会社がやらなければならないこと(1)—税務編」では、従業員が10人以上になったら、会社がやらなければならない「税務や労務の手続き」があるということで、税務の手続きについて税理士さんに説明してもらいました。

 

<従業員が10人以上になったら会社がやらなければならないこと>

 

引き続き、本コラムでは、労務の手続き「3. 就業規則を作成し、労働基準監督署に届出を行う」と「4. 労働者の安全や健康確保などに係わる業務の担当者を選任する」について社労士さんに教えてもらいます。

【参考コラム】
任意手続き「5. 健康保険を見直す」、「6. 勤怠管理を見直す」については、以下のコラムをご参照ください。
会社の義務です!従業員が10人以上になったら会社がやらなければならないこと(1)—税務編

 

 

就業規則を作成し、労働基準監督署に届出を行う

榊社労士
では、労務関連の手続きである「3. 就業規則を作成し、労働基準監督署に届出を行う」と「4. 労働者の安全や健康確保などに係わる業務の担当者を選任する」について説明します。

説明の前に、従業員数の考え方が税務と労務では異なるため、以下の点にご注意ください。

本コラムでの従業員数は、
・役員の人数は含みません。
・常用雇用の契約社員やアルバイトは含まれます。
・事業所が複数ある場合は、事業所ごとに従業員数を判断します。

常時雇用する従業員が10名以上になった場合は、就業規則を作成して労働基準監督書に届出が必要です。

また、作成した就業規則は届出をしただけでは効力はなく、従業員に周知することが大切です。周知方法として、必ずしも1人1人に配布するまでは必要なく、イントラネットで公開したり、誰でも閲覧可能な場所にファイルを置いておくなども有効です。

 

【参考コラム】
就業規則に書くべきことについては、以下のコラムをご参照ください。
実は怖い無料ひな形!?就業規則で書くべきことは?どんなことを書いても有効なのか?

 

相談者
就業規則って、従業員が10人以上になったら作成する義務があるのですね。知りませんでした。

 

榊社労士
就業規則作成後には、「就業規則(変更)届」と「就業規則意見書」を作成して労働基準監督署に届出する必要があります。

なお、提出時には正副2通を作成し、提出済の証拠として副本にも届出印をもらい、会社で保管するのが通例です。また、返信用封筒を付ければ郵送による提出も可能です。

 

【参考】厚生労働省 東京労働局
・就業規則(変更)届
・就業規則意見書

 

就業規則を作成したら従業員代表者から意見を聴く必要がある

 

榊社労士
就業規則を作成した場合には、従業員を代表する人から意見を聴くことが義務付けられており、作成された就業規則に対しての意見書を書いてもらいますこの意見書を「就業規則意見書」といいます。

 

相談者
就業規則を作成したら従業員の代表者から意見を聴く必要があるのですね。従業員の代表者ってどういう人が代表者になるのでしょうか?

 

榊社労士
労働組合がない場合の従業員代表者は、管理職以外の人の中から、投票、挙手、話し合いなどで従業員の過半数から選出します。

民主的な方法で労働者代表が選ばれた証拠を残すため、労働者代表に賛成した人の署名一覧の作成や、挙手で選出している様子の写真や動画を撮影しておくと良いでしょう。

選出された従業員代表者に意見を書いてもらってください。特に意見がない場合には「異議なし」と一言、意見書に書いてもらえば大丈夫です。

 

 

労働者の安全や健康確保などに係わる業務の担当者を選任する

榊社労士
常時雇用する従業員が10人以上50人未満の会社の場合は、安全衛生推進者または衛生推進者を選任し労働者の安全や健康確保などに係わる業務を担当させなければなりません。

 

「安全衛生推進者」「衛生推進者」どちらを選任したらいいのか?

 

相談者
「安全衛生推進者」または「衛生推進者」を選任しなければいけないとのことですが、WEB制作をしている私の会社の場合は、どちらを選任することになるのでしょうか?

 

榊社労士
IT業なので「衛生推進者」を選任することになりますね。「安全衛生推進者」、「衛生推進者のどちらを選任するかは、業種によって異なります。詳しくは、以下の表をご参照ください。

 

<業種別:安全衛生推進者および衛生推進者>

厚生労働省 職場あんぜんサイト

 

相談者
そうなんですね。では、衛生推進者を選ぶことにします。

 

「安全衛生推進者」「衛生推進者」になれる人の条件とは?

 

榊社労士
あと、「安全衛生推進者」、「衛生推進者になる人には一定の要件があります

安全衛生推進者又は衛生推進者が実質的にその役割を果たせるよう、業務を担当するため必要な能力を有すると認められる者のうちから選任することとされています。

具体的には、大学又は高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上安全衛生の実務(衛生推進者にあっては衛生の実務)に従事した経験を有する者等とされています。

社員の中に必要な学歴や経験を有する人がいない場合は、就任候補者に「安全衛生推進者養成講習」「衛生推進者養成講習」を受講させることで、安全衛生推進者、衛生推進者になる資格を得ることもできます。

安全衛生推進者または衛生推進者は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。また、その事業場に専属の者を選任しなければなりません。ただし、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等一定の者を選任したときは、専属要件は適用されません。

安全衛生推進者又は衛生推進者を選任したときは、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければなりません。イントラネットによる公開でも差し支えありません。

 

担当者はどんなことをしなければいけない?

 

相談者
あと、安全衛生推進者または衛生推進者ってどんなことをしなければいけないのでしょうか?

 

榊社労士
安全衛生推進者または衛生推進者が担当する職務は、以下のとおりです。

(1)労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
(2)労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
(3)健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること。
(4)労働災害防止の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
など
※衛生推進者については、衛生にかかる業務に限る。

榊社労士
具体的には、以下のような職務を担当します。制度の詳細は、「厚生労働省 職場のあんぜんサイト」をご参照ください。
  • 施設、設備等(安全装置、労働衛生関係設備、保護具等を含む。)の点検及び使用状況の確認並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
     
  • 作業環境の点検(作業環境測定を含む。)及び作業方法の点検並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
     
  • 健康診断及び健康の保持増進のための措置に関すること。
     
  • 安全衛生教育に関すること。
     
  • 異常な事態における応急措置に関すること。
     
  • 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
     
  • 安全衛生情報の収集及び労働災害、疾病・休業等の統計に関すること。
     
  • 関係行政機関に対する安全衛生に係る各種報告、届出等に関すること。

など

 

相談者
なんだか、いろいろと大変そうですね。。。 従業員が10人以上になったタイミングで、会社としてやらなければいけない手続きについて、よくわかりました。早速、手続きしたいと思います。ありがとうございました。

 

榊社労士
最近は、過重労働や長時間労働が厳しく取り締まられ、また、社員がうつ病などの精神疾患に陥ることを予防することも必要ですから、安全衛生推進者や衛生推進者を正しく選任し、社内の安全や衛生に配慮をすることは、重要な経営課題であると考えて頂きたいと思います。

 

Bizerをご利用の場合

・ToDoリスト

従業員が10人以上になったときに必要な手続きについては、「ToDoリスト」機能の「雇用する従業員が10人以上になる」で確認することができます。

「ToDoリスト」—「雇用する従業員が10人以上になる」

・バインダー

また、作成した就業規則は、Bizerの[バインダー]機能を利用すると、クラウド上で就業規則を保管でき、周知が必要な社員に共有することもできます。詳しくは、「1. バインダーで「できること」(管理者)」をご参照ください。

 

ベンチャー企業である自社にあった就業規則を作成したい

従業員10名以上の会社は、就業規則の作成が義務付けられています。 また、10名未満の会社であっても「助成金の受給」や「社員や労基署からの訴訟や提訴から会社を守る」などの理由で作成されることをお勧めします。

Bizer(バイザー)のユーザー様であれば、50,000円(税抜)から「就業規則作成サービス」をご利用になれます。また、フレックスタイム制、みなし労働時間制などの特殊な労働時間の採用や、36協定の作成、労働基準監督署への提出代行などのスモールビジネスに必要なオプショナルもご用意しております。ベンチャー企業に強い社労士が、ベンチャー企業の実情にあった就業規則を作成いたします。

サービスの詳細やお見積もりについては、[就業規則作成サービス]まで

 

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>>前回のコラムへ
会社の義務です!従業員が10人以上になったら会社がやらなければならないこと(1)—税務編

榊 裕葵(さかき ゆうき)

ポライト社会保険労務士法人 社会保険労務士。上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務後、社会保険労務士として独立。勤務時代、常に経営者の側で仕事をしてきた経験も活かしながら、スタートアップ企業の労務管理体制の構築や、助成金申請の支援を積極的に行っている。