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実は怖い無料ひな形!?就業規則で書くべきことは?どんなことを書いても有効なのか?

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就業規則はインターネットにアップされている雛形を活用したり、社会保険労務士に丸投げして作成を依頼したりすれば、一応は完成させることはできます。

ですが、就業規則を本当の意味で役立てるには、それを運用する経営者や人事担当者の方が就業規則の中身について理解をしていることが不可欠です。本コラムでは、最低限押さえておきたい就業規則の内容に関するポイントについて説明をしていきたいと思います。

就業規則には何を書かなければならないのか

まずは、法的な意味で「就業規則には何を書かなければならないのか?」ということから説明を始めていきましょう。

この点で就業規則は、以下の3つの要素で成り立っています

1. 絶対に書かなければならない「絶対的必要記載事項

2. 定めをするならば書かなければならない「相対的必要記載事項

3. 会社が自由に書いて良い「任意的記載事項

【絶対的必要記載事項】
①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交代勤務に関する事項
②基本給など月度賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締日支払日、昇給に関する事項
③自己都合、解雇、定年等、退職に関する事項     

【相対的必要記載事項】
①退職金を支払う場合は、退職金の金額、対象者、計算方法等に関する事項
②賞与を支払う場合は、賞与に関する事項
③労働者負担の食費や作業用品等がある場合は、これに関する事項
④安全及び衛生に関する定めをする場合は、これに関する事項
⑤職業訓練に関する定めをする場合は、これに関する事項
⑥災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合は、これに関する事項
⑦表彰及び制裁の定めをする場合は、その種類及び程度に関する事項
⑧その他、全労働者に適用される定めをする場合は、これに関する事項        

【任意的記載事項(代表例)】
①採用に関する事項
②服務規律に関する事項
③企業理念に関する事項
④助成金に関する事項  

 

「絶対的記述事項」に記載漏れがあったら?

絶対的記載事項に関する事項に記載漏れがある場合は、就業規則として不備があるものということになり、労働基準監督署に提出する際や(実務上は、提出時にその場で全文をチェックするわけではないのでそのまま受理されてしまうこともありますが)、労働基準監督署の調査で指摘を受けてしまうことがあります

また、助成金の申請の際に添付書類として就業規則を出さなければならないことも多いのですが、不備のある就業規則だと、不支給の原因となるリスクもあります。

     

「相対的記載事項」や「任意的記載事項」は必要最低限に!

逆に、相対的記載事項や任意的記載事項については、現時点で自社にとって必要のないことは書かないようにしましょう。就業規則に書いてしまうと書いた瞬間から、それが全従業員に適用される権利または義務になりますので、「取りあえず入れておく」というのはやめて下さい。就業規則は、最初から至れり尽くせりのものを作成するのではなく、まずは現状の企業体力に合わせてミニマムベストで作成して、会社の成長に合わせて、徐々にアップデートしていくべきものです

     

「正社員」と「アルバイト」で雇用条件が大きく異なるときは?

また、正社員とアルバイトで雇用条件が大きくことなるような会社の場合は、正社員用とアルバイト用の就業規則を分けて作成するようにして下さい(あるいは、1つの就業規則の中でしっかり書き分けるという対応もOKです)。深く考えずに就業規則を1種類しか作成していないと、その就業規則が全社員に適用されてしまいますので、本来は対象として想定していなかったアルバイトにも、退職金や賞与を支払わなければならなくなってしまうというケースも起こりえます。

     

就業規則の作成で「具体的に」気を付けたいこと

ここまでは就業規則の作成において総論的なことを述べましたが、次に、就業規則の内容の定め方で、特に気を付けたいことや、経営者や人事担当者がよく悩むことについて、6点ほど具体的に説明をしたいと思います。

     

始業および就業の時刻

第1は、始業および就業の時刻です。始業終業時刻が明確に決まっている会社の場合は良いのですが、シフト制やフレックスタイム制をとっている会社様から「始業や終業の時刻をどのように就業規則に書けば良いのか」という相談を受けることがあります。

この点、必ずしも具体的な始業・終業時刻までを就業規則に明記する必要はありません。就業規則には、「所定労働時間は1日8時間、1週間40時間以内とし、前月20日までに翌月のシフトをシフト表により各社員に通知する。」というような定め方も可能です。

     

休暇に関する事項

第2は、休暇に関する事項です。休暇に関する事項も絶対的記載事項ですが、法律で定められた休暇には、有給休暇をはじめ、生理休暇、母性健康管理のための休暇、産前産後休暇、育児休業、介護休業、子の看護休暇など、様々な休暇制度があります。「これらを全て就業規則で網羅しなければならないのか」という質問を受けることがあります。

この点、福利厚生的なニュアンスで「皆さんはこのような休暇制度が使えますよ」ということを社員へ周知するために、できるだけ詳しく網羅してあげることも一つの考え方です。

一方で、会社としてどのような休暇があるのか把握して網羅するのが難しい場合や、法改正を追いかけてアップデートしていく自信が無い場合は、「各種休暇は労働基準法等、法律の定めに基づいて与えるものとする」という包括的な定め方をしておくことも可能です。

     

退職に関する事項

第3は、退職に関する事項です。社員が行方不明になってしまった場合、休職期間が満了しても復職できない場合、心身の不調により不完全な労働しか提供できなくなってしまった場合、試用期間で明らかに能力不足が判明した場合など、会社として雇用契約を終了させたいと考える場面は様々です。

また、社員の自己都合による退職であっても、引き継ぎや後任者を探す時間が必要なので、突然の退職は防止しなければなりません。

    そこで、退職に関する事項は、就業規則の中でも特に気を付けて作り込まなければならない部分ということになります。雛形の就業規則を使う場合でも、少なくとも退職に関する事項だけは、自社の実態に合わせて慎重に作成するようにして下さい。

     

制裁に関する事項

第4は、制裁に関する事項です。制裁に関する事項とは、すなわち始末書、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇といった懲戒処分に関する規定のことです。この点、実は、就業規則に定めがなければ、法的に会社は懲戒処分を行うことができません。

刑法でも、「窃盗罪」とか「詐欺罪」とか具体的な罪名と、懲役○年以下、○万円以下の罰金というような刑事罰の重さが定められていますが、それと同様、社内秩序の維持のために社員に懲戒処分を科す場合にも、就業規則上の明文化された根拠が必要なのです。

雛形の就業規則を使う場合でも、一通りの懲戒規定は網羅されていると思いますが、実際に運用するときのことを考えて、そのまま流用せず、可能な限り自社の実態に合った内容を定めるようにしましょう。

     

助成金に関する事項

第5は、助成金に関する事項です。キャリアアップ助成金であれば「正社員への転換に関する事項」、キャリア形成促進助成金であれば「人事評価、セルフキャリアドック、教育訓練休暇に関する事項」、職場定着支援助成金であれば「新しく支給する手当、人間ドッグなどの健康づくり制度、定期的に行う社内研修制度」といったように、助成金の申請においては、それぞれの助成金の支給要件で求められている内容を、正確に就業規則に織り込んでいかなければなりません。

助成金の審査は年々厳しくなってしますので、助成金を狙っている会社様は、リーフレットや支給要領をよく読んだ上、細心の注意を払って助成金の要件に間違いなく合致するよう就業規則を作り込んでください自信がない場合は、助成金に強い社会保険労務士に相談しましょう。

     

就業規則には何でも書いて良いのか?

第6は、就業規則には何でも書いて良いのかということです。確かに就業規則は会社のルールブックですので、必要的記載事項を満たしていれば、原則としては何を書いても問題ありません。

しかし、労働基準法が「最低基準」として存在していますので、「1日の労働時間は9時間とする」とか「有給休暇は会社が認めた場合に限り取得を許可する」といったような、労働基準法よりも社員に不利な定めをすることはできません。万一、労働基準法を下回る定めをしてしまった場合は、その部分が無効になり、労働基準法の定めが適用されます。逆に、労働基準法を上回る定めは自由です。

なお、社員個々人の雇用契約書の定めと就業規則が矛盾する場合は、雇用契約書と就業規則を比べ、社員にとって有利な内容が適用されることになります。ですから、就業規則を作成する際には、雇用契約書との矛盾が無いかも意識するようにして下さい。

     

まとめ

就業規則の全体像と、個々の気を付けるべき論点について述べてきましたが、実務上、就業規則は、作成するときよりも運用するときに問題が発覚することが多いです。

社員から質問を受けたり、いざ社員との労働トラブルが発生してしまってから、「あれっ、こういう場合の定めが書いてなかった」とか「雛形ベースで作成したが、この条文は外しておけばよかった!」ということが起こらないよう、しっかりと自社に合った就業規則を作り込んでおきたいですね。

     

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従業員10名以上の会社は、就業規則の作成が義務付けられています。 また、10名未満の会社であっても「助成金の受給」や「社員や労基署からの訴訟や提訴から会社を守る」などの理由で作成されることをお勧めします。

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