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忘年会シーズン!知らないと忘年会費に税金(所得税)が課税されてしまうかも!?

税金が課税されてしまう忘年会のご褒美とは?

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今年も残すところあと1ヶ月、スタッフへの1年間の感謝と来年に向けてのチームの団結のため、年末の忘年会は気合を入れて開催したいと思います。

ここで問題です。次の忘年会費用のうち、顧問や社員に税金(所得税)が課税されてしまうものはどれでしょう?

①外部の顧問税理士を呼んだ時の顧問の分の参加費用

②マネージャーへの昇格者に昇進祝いの金一封を用意して表彰した費用

③じゃんけん大会優勝者への有名レストランのディナー券

④創立5周年記念金時計の配布

回答は、後述の「課税されないための忘年会時の経費で注意すべきポイント」で!

福利厚生費は課税されない?会議費・交際費と福利厚生費

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相談者
今年もあっという間の1年でした。本当にスタッフのみんなには感謝の気持ちでいっぱいで、忘年会ではうまい肉でもごちそうしてあげようと思ってます。
村田税理士
もう、すっかり忘年会を予約する季節なんですね。
相談者
ちょっと気になっているのが、取引先との飲食費って1人5,000円以下だと「会議費」で、5,000円を超えると「交際費」になるじゃないですか。

今回、高級焼肉店で忘年会したら、余裕で1人5,000円は超えるんですけど、これって「交際費」になるんですか?

村田税理士
こちらの国税庁タックスアンサーにありますように、得意先等の「接待等」の飲食の場合には5,000円以下は「交際費」とはならないですが、そもそも忘年会のような従業員の慰安・福利厚生のための費用は交際費の範囲からは除外されています。

【参考】

(国税庁タックスアンサー No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算

1 交際費等の範囲

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出する費用をいいます。

ただし、次に掲げる費用は交際費等から除かれます。

(1) 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

(2) 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用

相談者
ということは、1人5,000円を超えてもいいんですか?思い切って1人5万円とかにしても大丈夫なのでしょうか?
村田税理士
いいえ。さすがに金額感は一般的な常識の範囲内でないとダメです。あまり高額過ぎると従業員の懇親・慰安ではなく、経済的利益=ボーナス(給与・賞与等)とみなされて、結果的に社員へ税金(所得税)が課税されることになります。

【参考】

所得税基本通達
(課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)

36-30 使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。

村田税理士
税務調査結果に対する裁判所のような「国税不服審判所」の採決事例の中でも、福利厚生費は金額も少額であることから強いて課税しないとしており、高額な海外社員旅行には所得税を課税していたりもします。

【参考】

国税不服審判所 平8.1.26裁決、裁決事例集No.51 346頁

役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる福利厚生行事(例えば新年会、忘年会、ボーリング大会等)は、簡易なものが多く、参加者全員の希望を十分に満たすものばかりとはいえず、また、それにより受ける経済的利益の額も少額と認められることから、使用者がその行事の費用を負担した場合であっても、その参加による経済的利益については強いて課税しないこととしている。

相談者
なるほど、他にも忘年会費で気を付ける事はありますか?
村田税理士
忘年会の費用は使い方を間違えると、社員に税金(所得税など)が課税されてしまう「賞与」という扱いになってしまうので、いくつか注意すべきポイントを解説しますね。

課税されないための忘年会時の経費で注意すべきポイント

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①外部の顧問税理士を呼んだ時の顧問の分の参加費用

相談者
忘年会、せっかくなので顧問税理士とか、社外でお世話になっている人も何名か招待しようかと思うのですが、その場合も「交際費」ではなく「福利厚生費」で経費を計上してもOKですか?社員ではないから、外部の顧問とか得意先の人の分の忘年会費は「交際費」として計上する必要があるのでしょうか?
村田税理士
忘年会に外部の人を招いた場合、「事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為」として交際費と判断される可能性が高いです。
相談者
なるほど、福利厚生費は純粋に従業員のために使うものなのですね。

【参考】

(国税庁タックスアンサー No.5261 交際費等と福利厚生費との区分

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。

ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。

【参考】

(国税庁タックスアンサー No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算

次に掲げる費用は交際費等から除かれます。

(1) 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

②マネージャーへの昇格者に昇進祝いの金一封を用意して表彰した費用

村田税理士
昇格者に対する金一封は完全にボーナス扱い(給与・賞与等扱い)です。昇格=勤務の成果に対して支給する金銭ですのでボーナスとして所得税も課税されますし、社会保険の課税対象にもなります。

③じゃんけん大会優勝者への有名レストランのディナー券

相談者
じゃんけん大会であれば、勤務の「成果」による支給ではないので、現金で手渡ししちゃってもボーナスにはなりませんよね?
村田税理士
金銭の支給の場合は、福利厚生の範囲から除かれてしまいますのでボーナス扱いです。よって、税金が課税されてしまいます。
相談者
それであれば、商品券を景品にすれば、現金ではないですし、もらった人も自由に使えるので良さそうですよね?
村田税理士
いいえ。商品券のように実質的に現金と同等のものについては、現金の支給の場合と同様に扱うこととなりますのでアウトです。

【参考】

(国税庁質疑応答事例 創業50周年を記念して従業員に支給した商品券

【照会要旨】

当社では、創業50周年を迎えたことから、本年12月に在籍する全従業員に対し、一律1万円分の商品券を支給することとしました。

この場合、従業員に支給した商品券については、どのように取り扱われますか。

【回答要旨】

照会のように、会社の創業記念として商品券の支給が行われる場合、その支給を受けた各従業員は当該商品券と引き換えに、商品を自由に選択して入手することが可能となりますので、商品券の支給については金銭による支給と異ならないといえます。

したがって、照会の商品券の支給については、課税しない経済的利益には該当せず、給与等として課税の対象になります。

相談者
なるほど。それであれば、自由に選択できないものであればOKですよね?僕のオススメの有名レストランのディナー券を景品にしようかと思いますが、どうでしょう?
村田税理士
それはOKです。そのレストランでしか使用できないのであれば、用途が限られているので、商品を自由に選択できる「商品券」にはあたりません。あとは、金額感に注意してあまり高額にならないように注意してください。

④創立5周年記念金時計の配布

相談者
それでは、今までのケーススタディーを踏まえて忘年会と合わせて創立5周年なので社員に一律に支給する金時計とかどうですか?①対象者を社員だけにして、②業務の成果に関係なく社員に一律に支給して、③商品を自由に選択できる商品券や金銭での支給にはしない。完璧な福利厚生費ですね。
相談者
金額的にも1人3万円程度であれば社員旅行の場合よりも金額的に安いですし、モノとして残ったほうが社員も嬉しいと思うんですよね。
村田税理士
それが、創立5周年記念というのはOKですが、1人3万円程度というのはアウトですね。創業記念品については、所得税基本通達で以下のように定められています。

【参考】

所得税基本通達

(課税しない経済的利益……創業記念品等)

36-22 使用者が役員又は使用人に対し創業記念、増資記念、工事完成記念又は合併記念等に際し、その記念として支給する記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。ただし、建築業者、造船業者等が請負工事又は造船の完成等に際し支給するものについては、この限りでない。

(1)その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)が1万円以下のものであること。

(2)創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること。

相談者
なんだか、社員旅行であれば海外旅行とか1人あたりの金額がもっと高額な場合もあるのに、創業記念品は1万円以下ってなんだか釈然としないですね。
村田税理士
福利厚生費は、慰安の目的ごとに社会通念上通常要する費用であればOKというものなので、福利厚生の種類によって妥当な金額というのが異なるのです。
村田税理士
特に記念品のようにモノとして残る場合は、金額は厳しめに判断されることとなります。
相談者
いろいろと教えてくださってありがとうございます。

忘年会関係の経費では、いろいろ気を付けるポイントがあることが、よくわかりました。

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村田 光平

公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。