1日2,000件も!? 特許出願の重要性とは。
新しいサービスを思いついた!これからエンジニアも集めて、世の中に新しい機能をリリースするぞ!もしかすると、この機能でお金持ちになれるかも!
ちょっと待ってください。もし、他人にこの機能をとられたくないのであれば、お金持ちの妄想する前にやるべきことがあります。それは「特許」申請です。
今回は経営者の視点にたってて、「特許」の役割や重要性について弁理士の方に話を聞いてみました。
そもそも特許とは?
特許は形あるものに限らず、コンピュータープログラムなども特許で保護することができます。他人にその商品・サービスの模倣品を製造・販売させたくない。そのような場合に、特許権が役立ちます。
大企業に限らず、たくさんの中小企業・個人事業主の方々が、自社の大切な技術を保護するために、特許出願を行っています。ちなみに、平成27年(2015年)の年間の特許出願数は317,653件です。
2016年3月は1ヶ月で約4万件出願。約20営業日なので1日平均約2,000件が出願されている計算となりますね。
※特許出願件数月別推移(特許出願は3月に大きな山ができ、9月・12月も件数が増える。)
特許庁:特許出願等統計速報
実は、あるサービスをWeb上で提供することを考えています。いままでにない新しいビジネスモデルであると考えているので、特許出願した方がいいかなと思ってます。というのも、他社の追随が予想されるので・・
※ビジネスモデル特許・・・ビジネスを支えるITの仕組みを保護する特許
ちなみに、特許出願するメリットについて改めて教えていただけますか?
特許出願を行う3つのメリットとは
(1)自分より後に他人が思いついた同様・類似アイディアを権利にさせない
(2)営業ツールとして利用
(3)他人の模倣を排除できる
また、「特許出願中」というステータスでも、アイディアを買ってくれる会社があれば、ライセンス収入が入りますし、銀行からの融資などにもプラスに働く可能性は大いにあります。
なお、他人が模倣した場合、損害の賠償請求ができるので、安心してビジネスをすすめられますよ。
特許権取得のための3つの基本事項
お客様の場合、Web上で提供ということですから、この要件は満たすと思いますよ。
但し、市場になくても、先行する特許出願があるかもしれないので、調査が必要です。
ですが、例外がありまして、6か月以内であれば救済することができる場合があります。所定の証明書を提出することで、この例外の適用を受けることができますので、その適用を検討しましょう。
これは、技術的に進歩しているかどうかが問われる要件となります。「技術的」ですから、ビジネスの仕組み自体が進歩しているかどうかではなく、IT化の方が技術的に進歩しているかどうかが問われます。何か工夫された点がございますか。
特許申請が遅れた時のデメリットとは
あとから「私の会社が先です」といっても通用しないので、検討しているようでしたら早めに動くことをお勧めします。
以上、いかがでしたか。ビジネスにとって重要なものなので、今一度ご自身の会社にあてはめて考えてみてくださいね。
また、特許とあわせて、商標登録についても気になる方はこちらのコラムを参考にしてみてください。
(参考)商標登録についてのコラム
https://bizer.jp/archives/1312
須田 浩史
弁理士。東京理科大学専門職大学院総合科学技術経営研究科 技術経営修士(MOT) 特許業界で25年、担当した特許出願は1500件を超える。昨年は、1年間に数多くのお客様の発明相談を担当。お客様の目線にあったサービスを心情としている。