LINEも上場!会社設立時から知っておきたい上場審査基準のこと
いよいよLINEも上場!あっという間にみんなが使うアプリになって新しいサービスをどんどん出して、僕もこういう会社を目指して独立しようと思ってます。
まずはいいサービスを作ることに集中するけど、上場ってどうすればできるの?会社設立するときに上場に向けて意識しておくことってありますか?
何で上場するの?
(1)多額の資金調達
仲間内で作る会社では集められる資金も限られていますが、上場した会社は10億円~100億円規模の資金を調達しています。多額の資金を調達することで、サービス開発・販促を加速することができます。
今回のLINEの上場時の発行予定株式数(公募株式数)は35,000千株で、価格は2,000~3,000円くらいになると思われますので、700億~1,000億円規模の資金調達となります。
他の大手新規上場時と比較すると、LINEの上場の規模がいかに大きいかがよく分かります。
(2)会社の知名度向上
上場している会社は知名度も高く、コンプライアンスなどもしっかり守っている会社と見られるので、取引先も安心できます。また最近話題の「嫁ブロック」を防げたり、新卒採用でご両親が安心できるので、優秀な人材を集める際にプラスに作用します。
(3)創業者利益
上場するレベルまで成長した会社の株価は、設立時の数万倍~それ以上に上昇する場合もありますので、創業者は上場後に株を売却することで大きな利益を得ることができます。
LINEの場合は韓国のNAVER Corporationが親会社なので社長が創業者利益を得るわけではありませんが、社長や従業員はストックオプション(新株予約権)を行使することでの利益を得ることができます。
会社設立時に知っておきたい上場審査基準
(1)高い成長可能性
マザーズは、成長力のある会社がさらなる成長のために資金を調達する市場です。駐車場の管理会社で毎月一定の利益があるが成長はしない、というような業種ですと上場には向いていません。
(2)200人以上の株主
株主が少ないと、株を売りたい人と株を買いたい人との取引が成立しないので、上場時に200人以上の株主が予定されていないと上場できません。上場時には多くの株主が関与することを意識しておく必要があります。
(3)監査法人による監査
上場会社は四半期決算ごとに監査法人による決算監査を受け、決算数値のチェックを受ける必要があります。監査法人によるチェックを受けた決算を、四半期決算は45日以内に開示、年度末決算は3ヶ月以内に開示する必要がありますので、会社内での決算数値の集計、開示資料の作成はかなり短期間に行う必要があります。
(4)内部管理体制の整備
例えばお金の振込を行う担当者と会計帳簿に記帳をする担当者が別であるとか、取引先の信用調査を行う、請求書の発行や取引先からの支払請求書を上司が内容をチェックするなど、ミスや不正が起きないように複数人による組織的な内部管理体制が必要となります。LINEも、上場に向けて内部管理体制を整備しています。
(LINE Ⅰの部引用) P42(22)内部統制について 当社グループは、2013年12月期及び2014年第2四半期の財務報告について、内部統制の重要な不備を認識しておりました。当社グループは、重要な関連当事者取引に対する契約条件等のマネジメントの審議・承認プロセスの構築や会計及び財務システムの改善を担う内部統制チームの設置など、内部統制上の重要な不備を是正するための内部統制を整備し、運用を行っております。このような取り組みの結果、2015年12月期期末において、当該重要な不備は是正しております。
(5)法令順守
例えば株主総会や取締役会を適切に開催しているか、本店移転などの法務局への登記を期限内に行っているか、事業に関連する法律に準拠しているかなど、きちんと法令順守されているかを審査されます。
(LINE Ⅰの部引用)P39(14)資金決済法について 当社は、前払式支払手段の発行者として資金決済法の規制を受けておりますが、最近では、2016年12月期において当社に対して当局の検査が行われ、2016年5月16日に検査結果通知を受領しております。
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上場した後も気を抜けない
※日本取引所グループ 上場廃止基準概要(マザーズ)
村田 光平
公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。