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売上5,000万円以下なら消費税を節税できるかも!消費税の簡易課税制度について

簡易課税制度のアイキャッチ画像

起業してからあっという間に2年。なんとか今期も利益を出して終われそうだと思っていたら・・・

先輩経営者から3期目からは消費税の納税があるから大変だぞ、って。あと、簡易課税の届出は出すのか?って、謎の専門用語が出てきたのですが、、

1.簡易課税制度とは

相談者
起業してもうすぐ2年、第2期も無事黒字で終われそうなのですが先輩経営者との飲み会の席で、3年目からは消費税が課税されるから来期が本当の勝負だ。と言われまして。
村田税理士
設立1年目の課税売上が1,000万円超なので、第3期から消費税の課税事業者ということですね。

消費税納付は3年目まで来ない!?(前編)
https://bizer.jp/archives/2404

相談者
それで相談が、その先輩経営者から「簡易課税の届出は出すのか?」ってよく分からない話をされて。とりあえず、ばっちりです。って返答しておいたけど、大丈夫ですかね。
村田税理士
ちゃんと確認してください。まず最初に、こちらが通常の消費税の計算です。

消費税支払い額の計算

相談者
売上関連の消費税と仕入関連の消費税とを集計しないといけないのですね。
村田税理士
まあ集計は普通に会計ソフトに記帳していれば大丈夫なのですが、簡易課税の意図はそこです。集計が大変なので、消費税の計算をもっと簡易にしてもいいですよというものです。

国税庁タックスアンサー No.6505
簡易課税制度

簡易課税制度計算

村田税理士
業種ごとのみなし仕入率はこちらです。

国税庁タックスアンサー No.6509
簡易課税制度の事業区分

簡易課税制度について②

相談者
この計算方法だと、実際にいくらの仕入経費がかかっていても、このみなし仕入率で納付する消費税額を計算するということですね。
村田税理士
はい、一般的にはこの簡易課税制度で計算したほうが納付する消費税の金額は少なく計算されることとなります
相談者
ということは、世の中の会社はほとんど簡易課税を選んでいるってことですか?
村田税理士
簡易課税制度は申告する年の課税売上高が5,000万円以下の場合しか適用できないので、適用できる会社は限られていますね。
相談者
私の会社はWebサイト制作だから経費も人件費がほとんどなんですが、その場合でも第五種事業ということで消費税の計算では売上の50%分の仕入経費になるんですね。
村田税理士
御社の場合だと通常の消費税計算ですと人件費は消費税がかからないので控除できる仕入経費の消費税がほとんどないんですよね。

基本的には簡易課税を選択したほうがよいですが、Webサイト制作の実作業を外注し、御社はディレクションを行う。というような業態になった場合には、外注費は消費税が課税される仕入経費なので、通常の消費税計算のほうが納付する消費税額が少なくなるかもしれません

2.事前に届出が必要

相談者
なるほど、そうすると第3期の決算のときに簡易課税のほうが有利かどうか判断すれば消費税が節税できるということですね。
村田税理士
いえ、簡易課税は事業年度の開始前に税務署に届出する必要があるので、決算が締まってから有利な方法を選択するということはできません。

3.2年間は変更できない

相談者
そうすると1年1年、来年の業績を見据えて簡易課税にするかどうかを判断していく必要があるのですね。
村田税理士
簡易課税制度を選択した場合は、事業を廃止した場合等を除き、2年間継続した後でなければ簡易課税制度の選択をやめることはできません。

簡易課税で2年間消費税申告をした後に通常の消費税の計算方法に戻すことは可能です。

4.売上が5,000万円を超えた場合は

相談者
簡易課税制度の届出をしたけれども、第3期の売上が予想外に多くて5,000万円超だった場合はどうなりますか?
村田税理士
その場合は第3期は簡易課税での申告をすることはできません。
相談者
売上が5,000万円ギリギリ届くと損する可能性もあるのですね。
村田税理士
設立1年目の売上がギリギリ1,000万円超になってしまい、3年目に消費税の課税事業者になってしまうのと似たようなシチュエーションですね。

売上をコントロールできればそういう調整もアリだと思いますが、ビジネスをきちんと成長させて、その中で最適な税金対応を考える。というのが適切と思いますね。

相談者
税制に引っ張られてビジネスが止まるのは本末転倒ってことですね。

5.原則課税と簡易課税、どっちがお得かシミュレーションしてみる

相談者
簡易課税のだいたいのイメージはつきましたが、どれくらい消費税の金額が変わるのかシミュレーションしてみたいのですが。
村田税理士
御社の第3期の業績予想はざっくりどんな感じですか?
相談者
イメージはこんな感じですね。
・通常の消費税計算の場合・・・

・簡易課税消費税で計算した場合・・・

相談者
実際シミュレーションしてみると簡易課税のほうが断然有利ですね!
村田税理士
御社のようなサービス業に分類される会社の場合、仕入経費の消費税は人件費以外の経費にかかるので、

(1)人件費以外の経費が売上の50%超になる:通常の消費税計算のほうが有利
(2)人件費以外の経費が売上の50%以下になる:簡易課税のほうが有利

という感じになります。

相談者
現状のまま社内の人間でWebサイト制作をするのであれば、人件費以外の経費は50%もかからないので簡易課税のほうがよいですね。
村田税理士
Webサイトの制作作業を外注するようなケースですと粗利40%、外注費60%と考えると人件費以外の経費が50%超なので通常の消費税計算のほうが有利になりますね。
相談者
なるほど、まあそれくらいの規模になってきたら売上も5,000万円は超えてくると思いますので簡易課税制度も適用できないだろうし、やっぱり簡易課税にしますね。
村田税理士
繰り返しになりますが、「消費税簡易課税制度選択届出書」は第3期が始まる前に提出してください。

Bizerに「簡易課税の申請をする」という「ToDoリスト」機能があるので、手続きの流れはそこから確認できます。また税務署提出用の「消費税簡易課税制度選択届出書」の書き方の記入例もあるので、そちらを利用すると便利ですよ。

※記入例(Bizerの「ToDoリスト」機能からダウンロードしていただけます。)

簡易課税の記入例

相談者
サンプルあると記入しやすいですね!参考にします!

以上、いかがでしたか。是非一度自分の会社が簡易課税に当てはまるか、チェックしてみてくださいね!

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村田 光平

公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。