専門家が語る

まだ商標登録しなくていいと思ってるの?そんなんじゃ他の人のところにいっちゃうんだからね!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

商標登録?「なんとなく聞いたことはあるけど、SONYやエルメスのようなブランド力が高い商標を持っているわけではないから私には必要ないな」「大企業が考えればいい話でしょ」

 

・・・なんて思っていませんか?

 

ちょっと待ってください!!!

 

実はビジネスをやっていくうえで商標は案外身近な問題なんです。味方にすれば頼りになるけど、敵にまわすと怖い・・そんな存在です。今回は、経営者の視点にたって、なぜ商標登録する必要があるのかについて

 

1.安心してビジネスを継続できる

2.ブランド戦略、SEO対策に役立つ

3.社内外の信用が高まる

 

専門家の弁理士さんに、こちらの3つの観点から説明していただきます。

 

 

1.安心してビジネスを継続できる

   

商標登録すべき最も重要な理由は、安心してビジネスを行うためです。

商標登録されると商標権が発生し、商標権者はその商標を独占して使用することができます。

いい変えると、第三者は登録されている商標や似ている商標を、勝手に使用することができなくなるということです。そのため、商標登録せずに商標を使用すると、商標権侵害として訴えられるリスクを抱えることになります。

そして、商標権侵害となると、下記のようなダメージを被る可能性があります。

 

・その商標を使用して商品を製造・販売したり、サービスを提供したりできなくなる。

 ex)看板、WEBページ、包装紙、持帰り用袋、スタッフの制服などに商標を付せない。

・商標権者に損害賠償金を支払わなければならなくなる。

・10年以下の懲役、又は/及び、1,000万円以下の罰金に処される。法人の場合は、侵害者だけでなく、法人に対しても最大で3億円もの罰金刑が科される。

 

商標登録に必要な費用は、特許事務所に依頼したとしても、数万円~十数万円ですむことがほとんどです。上記のリスクを考えれば、単純な金銭面だけから考えても、結局は商標登録しておいたほうが良かったとなるかもしれません

 

ちなみに、「自分が先に商標を使用していた」は原則として通用しません。全国的に有名であれば、先使用権の主張(自分が先に使用していたので商標権侵害とはならない旨の主張)が認められますが、全国的に有名であることを証明するのは容易でありません。

 

どんなに古くから使用していても、全国的に有名でなければ商標権者に負けてしまいます。先に特許庁へ書類を提出して商標登録をした商標権者が、優先されるのです。

また、登録されている商標と同じ商標だけでなく、それと似ている商標を使用した場合も商標権侵害となるので注意が必要です。

 

 

では、商標登録をしているとどのような対応ができるのでしょうか。

 

例えば、粗悪品や質の低いサービスに商標を真似されて使用されてしまった場合には、その使用行為をいかに早く止めさせるかが大事になってきます。放置すれば、真似されている商品・サービスだけでなく、自社のすべての商品・サービスの信用・評判まで低下してしまうこともあるでしょう。

 

ここで商標登録していれば、通知書(警告書)を出すことで、ほとんどの侵害者は商標の無断使用を止めます損害が発生していれば、損害賠償請求をすることも可能です。言うことを聞かない場合でも、最終的には国家権力で侵害行為を差し止めてもらえます。商標権の効力によって、迅速解決が図れるのです。

 

他者に無断使用させないことで、自社商品・サービスのファンであるお客様が誤って別の商品やサービスを選んでしまうことを防ぐことができ、これは大事なお客様を守ることにもなります。一方、商標登録をしていないと、商標の無断使用を差し止めることができないか、あるいは非常に困難になってしまいます。

 

2.ブランド戦略、SEO対策に役立つ

商標登録には費用が必要です。これは商標登録のデメリットといえるかもしれません。しかしながら、これは一方で、お金をかけて商標登録しているということが商品・サービスに自信を持っているというアピールにもなり、お客様からの信用の獲得が加速することが期待できるのです。

 

商標に信用が積み重なれば、その商標はブランド化していきます。商標登録はブランディングにも役立つのです。なお、商標登録していることを広くアピールするには、登録された商標に「®」(Rマーク)を付すことが有効です。

®を付すことで「この商標を勝手に使わせないぞ!」という意思表示となり、他者の無断使用を抑止することもできます。

<®の使用例>

※「AJINOMOTO」は、味の素株式会社の登録商標です。

 

商標登録することで、SEO(検索エンジンの検索結果ページで自社のWEBページが表示される順位を上げる手法)で有利になることがあります。例を挙げて説明しましょう。

商品「サンバイザー」について、商標「Bizer」を登録したとします。すると、他者は許可なく「サンバイザー」を販売するWEBページに「Bizer」を商標として使用することができなくなります。

こうなれば、「Bizer サンバイザー」の検索結果として、自社のWEBページがトップに挙がってきたり、上位を独占したりすることが期待できます

 

自社のWEBページを多くのお客様に見てもらえれば、商品・サービスの認知度が向上しますね。質の高い商品・サービスならば、それに伴って売上げも増加するでしょう。

 

3.社内外の信用が高まる

デパートやネットショップ(仮想店舗街)によっては、出店に際し商標登録していることを条件とすることがあります。商標権侵害となった場合、侵害者だけでなく、その場を提供している者に対しても責任追及されることがあるからです。

 

商標登録していないと、商品やサービスを提供する機会をロスしてしまうリスクがあるということですね。そのときになって商標登録しようとしても、商標登録されるまでには平均で5~6ヶ月かかることに注意してください。

 

また、商標登録していることで、資金調達に有利に働くことがあります。その商標権に担保価値があれば、信用力が向上し、経営姿勢としても高く評価されます。

 

商標登録のメリットは対外的なことばかりではありません。商標登録することで、その商品・サービスを大切に考えていることを目に見える形で従業員に示すことができます。その商品・サービスの開発者や商標(商品名・サービス名)を考えた従業員は、きっと喜んでくれるでしょう。従業員が自社商品・サービスに誇りをもって、仕事に生き生きと取り組んでくれれば嬉しいですね。

 

 

以上、いかがでしたか。味方にすれば頼りになるけど、敵にまわすと怖い商標登録。ビジネスにとって、とても重要なものなので今一度ご自身の会社にあてはめて考えてみてくださいね。

河合 光一(かわい こういち)

弁理士。早稲田大学大学院商学研究科専門職学位課程ビジネス専攻(MBA)修了。 JAZY国際特許事務所にて、年間1,000件を超える商標登録出願に携わる。 「商標権はビジネスに活用できてこそ取得する価値がある」を信条とし、費用対効果を考えた提案をしている。