創業50年を超える老舗の労務管理事務所ながら、ITを積極的に導入し、数多くの顧客の労務管理支援を行っている亀井労務管理事務所。 今回は、副所長 松下さん、野嵜さん、白井さんに取材し、Bizer teamの導入背景や成果をお伺いしました。
既存のワークフローシステムは手入力の余地が大きく、ミスの原因になっていた
――所属する組織体制を教えてください。
松下さん:
我々の組織は社員とパートタイマーのチームに分かれており、完全在宅や週3日勤務など、多様なワークスタイルの方が働いています。入退社に伴う手続きが一番多く、雇用保険や健康保険など社会保険の各種手続きを行っています。お客様から業務の依頼が届いたら、社員がBizer teamのテンプレートからタスクを起票し、パートタイマーの方が作業するという流れです。
――Bizer teamを導入した経緯を教えてください。
松下さん:
Bizer team導入以前はワークフローシステムを使用していました。入退社で発生する手続きの種類はどのお客様でも変わりませんが、作業内容は少しずつ異なります。ワークフローシステムは設定に専門知識が必要で、異なるタスクをいくつも作ろうとする場合は、システムエンジニアに依頼しなければなりませんでした。また、Bizer teamのようなチェックリスト形式ではなかったので、具体的な作業内容をテキストで打ち込んでいました。
入社に伴う社会保険の手続きを例にすると、加入する社会保険の種類や扶養家族など、お客様や被保険者によって様々なパターンがあります。自由形式で作業内容を入れると時間がかかるし、書き手によって表記や密度が変わります。人によって解釈が異なるので、手入力のタスクはミスの原因になっていました。
そこで、ワークフローシステムのメリットを残しつつ、デメリットを解消できるタスク管理ツールとしてBizer teamを導入しました。テンプレートを作っておけば起票が楽になるし、ユーザーサイドで微妙な違いを反映することもできます。また、発生頻度の低いタスクは作業手順を忘れてしまうものですが、過去のタスクを見れば作業手順がすぐに分かるので、引き継ぎマニュアルとしても活用することができます。
タイトルとラベルにこだわることで、作業内容を判別しやすく標準化・分担が可能になった
――Bizer team導入はすぐに進みましたか。
松下さん:
まず、トライアルから始めました。使用するイメージだけ固めておいて、少数の社員とパートタイマーの方で3~4カ月ほど使ってみました。作業してみると、見直した方がいいルールも見えてきたので、細かい運用方法を整備した上で、全体研修を行いました。既存のワークフローシステムとの併用期間を経て、半年くらいかけて導入しました。
――Bizer teamの使い方にこだわりはありますか?
野嵜さん:
タイトル付けにはこだわりがあります。例えば、社会保険の手続きのテンプレートは、「[事業所名]_[氏名]_[yyyy/mm/dd]入社」で始まります。[事業所名]にお客様名を、[氏名]に被保険者名を、[yyyy/mm/dd]に入社日を入れると、どのお客様のどなたがいつ入社したかが、タイトルですぐに分かります。入社に伴う社会保険の手続きも、社会保険の種類によってテンプレートを分けているので、チェックリストに従って作業すればミスなく手続きが完了します。
野嵜さん:
ラベルにもこだわりがあって、タスクに「難易度」や「作業時間の目安」のラベルを付けられるようになっています。作業の難易度や工数をラベリングすることで、作業する方は自分の習熟度や忙しさに合わせてタスクを選ぶことができます。担当者名ごとのラベルもあるので、ラベルで担当者を指名することができます。
――横断業務は、どのように連携していますか?
野嵜さん:
完全在宅で働いている方もいるので、「紙作業」「郵送」というラベルを活用しています。自宅でできない作業が含まれていることがひと目で分かりますし、チェックリストの担当者を分けることで、在宅でできることと出社している人にお願いしたいことを分担できるようになりました。
野嵜さん:
以前使っていたワークフローシステムにはラベル機能がなかったので、タイトルの中に分別したい要素を入れて運用していたのですが、手入力なので効率が悪いというデメリットがありました。ラベルを使えば標準化できますし、視覚的にも判別しやすくなっています。
――具体的な業務の進め方を教えてください。
野嵜さん:
社員がテンプレートからタスクを起票し、パートタイマーの方が作業するという流れは冒頭でご説明した通りですが、チェックリストの最初の「起票」と最後の「確認」は社員を設定し、実際の作業は「@受付待ち」というダミーの担当者名にして、誰でも引き受けられる状態にしています。
野嵜さん:
担当者が決まってないタスクは「@受付待ち」のアイコンが付くので、パートタイマーの方は、「@受付待ち」の中からタイトルとラベルを見て、自分ができそうなタスクを選択します。「@受付待ち」を自分の名前に変えて作業し、終わったら起票した社員に確認してもらい、タスクは完了です。
なお、全体の進捗管理や作業分担は朝会で行います。Bizer teamのタスクを期限で絞り込んで、締め切りが迫っているものについて担当を決めます。難易度や作業負荷が高くて一人で完結できないタスクは、作業を分担して担当者を割り振っています。
起票にかかる時間は約半分に。作業者の確認も減り、大幅な効率化を実現できた
――Bizer team導入の成果はありましたか?
松下さん:
起票したタスクを手入力し、作業内容を都度確認することがなくなったので、起票の作業時間は半分程度に減ったと思います。
また、同じテンプレートを使い回すと、お客様によっては不要な作業が含まれることもあります。その場合は起票者が不要な作業を「不要チェックリスト」に入れておくと、作業者が作業範囲を把握しやすくなります。以前のワークフローシステムは、お客様による微妙な作業の違いをテキストから判断するしかなく、確認に時間を取られていたので、非常に効率的になりました。
――今後、目指していきたいことはなんですか?
松下さん:
一部のお客様にBizer teamのアカウントを付与して、起票からお任せしているケースがあります。ワークフローシステム時代から続いているフローなのですが、以前は「担当者が変わるとタスクに抜け漏れが発生する」というご相談がありました。Bizer teamはテンプレートから自動で起票する機能があるので、抜け漏れなく起票ができていると思います。
お客様に起票していただけると、手間と時間を圧縮することができます。我々が行った作業内容や手続き書類は、お客様にメールでお送りしているのですが、Bizer teamでご依頼いただければ、そのやり取りもなくなります。メールでのやり取りは履歴を探すのが大変なので、Bizer teamを活用した取り組みを今後はもっと増やしていきたいですね。
個人の能力や経験に依存しない業務フローを確立し、事業成長とサービスの安定を図りたい
――今後、どのようなチームにしていきたいですか?
松下さん:
業務フローを決める際は、個人の能力や経験に依存しない形にすることを意識しています。労務管理支援業務にはたくさんの手続きがあり、しかもお客様ごとに違うので、人材の育成に時間がかかります。ただ、入社して1人前になるまでに何年もかかってしまうと、事業成長の足かせになります。また、個人の能力や経験に依存していると、入退社などの入れ替わりでサービス品質を下げる要因になります。安定的にサービスを提供していくという意味でも、Bizer teamはとても重要だと思っています。
野嵜さん:
作業を行うサポートチームのリーダーをしています。以前は起票者によってタスクの書き方がバラバラだったので、作業内容や範囲が明確になっていませんでした。起票者に聞かないと分からないのですが、何度も質問することに負担を感じる方もいて、関係性がぎくしゃくしたこともあります。サポートチームにとって、作業の標準化、見える化は大きな課題でした。Bizer teamの導入がきっかけになって、業務を大きく見直すことができました。誰が担当しても一定の作業品質を提供できる環境を整えたことは、チームメンバーにとっていい状態になったと思っています。
白井さん:
Bizer teamはチェックリストを自由自在に追加・削除できるので、業務を整理しやすくなりました。一つひとつの作業項目を標準化できているので、社内のコミュニケーションも取りやすくなったと感じています。我々が使うシステムはたくさんありますが、Bizer teamが肝になるのは間違いありません。新機能が追加されていますが、便利な機能をうまく取り入れながら、我々も成長していきたいと考えています。