創業1920年。金属加工製品商社として日本のモノづくりを支える同社は、メーカーのニーズに合わせた製品の提供やコンサルティングを行っています。
今回は、業務システムの運用管理とRPA推進を担う情報技術グループのマネージャーである西脇さんに取材し、役割の異なる2つのチームにBizer teamを導入した経緯や成果をお伺いしました。
キャッチコピー「『仕事』をわかりやすく。かんたんに。」に共感
――所属する組織体制とBizer teamの導入経緯を教えてください。
株式会社ISSリアライズは、総合職のおよそ8割が営業で構成されていることもあって、個人主体の働き方が企業文化に根付いています。自分自身も個人プレイヤーとして「人にお願いするよりも自分でやった方が早い」と、セルフマネジメントを行っていました。
ところが2019年に総務部 情報技術グループのマネージャーに着任し、マインドが一変しました。会社全体に対して成果を最大化していくためには、自分一人の頑張りでは到底実現できません。色々な人の協力を得て仕事を進めていかなければならないと強く感じたことが原点です。しかし、協力を求めようと思っても、他の人が何をやっているのかほとんど分からない状況でした。
情報技術グループは、業務システムの企画・導入・運用を行っている「情報技術チーム」と、社内にRPAを推進する「RPAチーム」の2つで構成されています。
情報技術チームでは、ユーザーの問い合わせ対応が業務の中心となっていました。新しく導入したシステムであればこまめな改善を行うかもしれませんが、既存の業務システムの保守運用業務は、いわば“守り”の領域です。担当者が属人化しており、問い合わせや業務内容は担当者のみが把握している状況でした。ユーザー対応が行動の起点になりやすいので、いつまで経っても守りの領域が減らず、“攻め”に対する余力を創出できないこともチームの課題でした。
こうした状況を解決できるツールをインターネットで探していたら、Bizer teamがヒット。「『仕事』をわかりやすく。かんたんに。」というキャッチコピーが、今抱えているニーズそのものだと感じました。
必要に迫られていない業務可視化。自らタスクを作成し、メンバーに助けを求める
――導入にあたり、苦労した点はありますか?
情報技術チームのメンバーが、どの程度の工数をかけて何をやっているのかを把握するために、ヒアリングを行うことにしましたが、「保守運用です」「大変です」と抽象的な回答しか得られませんでした。可視化されているものが何もない状態で、ヒアリングベースで進めるのは無理があると痛感。メンバーとしても、これまで十分業務は回っていたので、「なぜいまさら可視化ツールを導入する必要があるのか?」と、可視化することに抵抗もあったのだと思います。覚悟を決めて「みんなの業務を理解したいので協力してほしい」とお願いしました。
そして、「Aシステムの改善」など、実現したいことをBizer teamでタスク化し、Aシステムの業務を担当者にチェックリストに起こしてもらうようにしました。完成したチェックリストは、業務内容が分からないくらい大きかったり、逆に細かすぎて全体像を把握するのが難しかったりと、最初の粒度はバラバラです。「マネージャーが分かる程度」を粒度の基準とすることで、ようやく統一感が出るようになりました。
一通りチェックリストのメンテナンスを終えても、新たなタスクを追加するとまた粒度がばらつきます。何回かのやり取りの末に粒度がおおよそ整ったのは、導入から半年が経った頃でした。
一方で、RPAチームはゼロから立ち上がったチームなので、積み上げてきたルーチンワークが一切ありません。先入観がないので、むしろ新しいツールに対しても肯定的でした。新型コロナウイルスの出現で、一時的にメンバー全員が在宅に切り替わったことも影響しているのかもしれません。業務を可視化していかないと、誰が何をやっているのか分からないので、付箋のようなイメージで業務をBizer teamに入力し、導入はスムーズに進みました。
チームの意識が変化し、「可視化して共有」が当たり前に
――導入したことで明らかになったことはありますか?
Bizer teamの使い方やタスクの管理に、その人の個性や価値観が反映されます。例えば、誰かを巻き込んで仕事をするのが苦手な人はチェックリストの粒度や書き方が抽象的だったり、そもそも可視化漏れが多かったりします。承認を得ることを優先している人はチェックリストに上司の確認を何度も入れたり…。仕事の精度の高さや人との関わり方、仕事で大事にしていることなどが分かるので、メンバーそれぞれに合わせたマネジメントに活かしています。これまで扱ったツールの中では、一番個性がにじみ出てくるのもBizer teamだと思います。
――導入の成果はいかがでしたか?
情報技術チームの場合は、「月初1日目は業務量が多くて大変」など、個人の主観で語られていた業務が定量化されました。例えばチェックリストに20項目も入っていれば、客観的に業務量や工数の目星がつきます。また、派遣スタッフの方の業務が明確になり、自発的に業務改善に取り組んでいただけるようになりました。派遣スタッフにお任せするのは、定型化されている細かい業務が多いのですが、マネージャーがすべて把握できているわけではありません。Bizer teamに入力しておけば業務の流れが一目で分かりますし、チェックリストを通じてコミュニケーションが図りやすくなりました。
何よりも、チーム内で「可視化」が当たり前になってきたのが大きな成果です。もちろん不揃いの粒度や入れ忘れもありますが、「なぜ可視化する必要があるのか?」という懐疑的な意識から、「した方が良いこと」「当然すべきこと」へと意識が変わったのは革新的です。
一方、RPAチームは、Bizer team上で必要な項目を洗い出して、表現できるようになりました。「キックオフの運営」という業務を例にすると、キックオフの事前準備、当日、事後処理といったフェーズごとにチェックリスト化するのですが、メンバーに「〇〇課のキックオフの運営をやります」と言った時点でやるべき項目が明確になるので、抜け漏れもなくなるし言語が揃います。業務レベルの均質化が、RPAチームの大きな成果ですね。コロナ前は意識していなかったことですが、相手が隣にいなくなると、何をしているのか本当に分からなくなります。情報技術チームのメンバーは密を避けて離れて仕事をしていますし、RPAチームはテレワークで業務を行っていますが、Bizer teamによってお互いの業務を把握しやすくなりました。
Bizer teamによって、業務のレベルアップを繰り返したい
――導入が成功したポイントは何でしょうか?
情報技術グループでは、メンバーの工夫や改善の取り組みを記録し、毎月プチ表彰しています。Bizer teamのテンプレートも、作成や修正をしたら工夫改善にカウントしているため、事務員を中心にテンプレートの更新が繰り返されています。
また、当初はExcelでの業務可視化を試みましたが、メンバーには「Excelはどうせメンテナンスされないもの」という先入観ができてしまっていました。新しいツールへのチャレンジならばトライ&エラー自体に価値が生まれますし、「業務の可視化」という目的に特化しているという信頼感もあるので、ブラッシュアップを繰り返しやすかったのではないでしょうか。
間接部門は、直接部門のように売り上げや利益への貢献を数値で追求しにくい側面があります。けれど、Bizer teamのようなツリー形式にすることで、工数を数値化することができます。例えばチェックリストが20個あるタスクは、10個のタスクよりも2倍工数が多いとか、業務改善して20個のチェックリストを15個に減らしたとか、可視化することで業務管理やKPIにも繋がりますし、間接部門でも生産性を数字で意識するきっかけになると考えています。
――今後、他の業務での活用イメージはありますか?
情報技術チームでは、「タスクの粒度を揃えて共有する」ことの重要性に気づいて、Bizer teamを成長のきっかけにしてもらいたい。そして、止めることなく業務をレベルアップし続けてほしい。可視化というフェーズは定着しつつあるので、これからは業務のブラッシュアップを主目的にしたいですね。業務レベルを絶えず向上し続けるための「媒体」として活用していきたいです。
RPAチームでは、RPA開発者を養成するためのコンテンツをBizer teamでテンプレート化しています。一人目の教育課程で顕在化した改善点を次のバージョンに反映し、コンテンツが着実に進化しつつあります。テンプレートの更新がサービス向上そのものになっています。「サービス開発ツール」のように機能し始めていますね。ツールはただ導入するだけですぐに成果を出してくれるわけではありません。トライ&エラーを繰り返すことでようやく多様な組織に適応させることができます。他の管理職に推薦したり、関わっているプロジェクトで導入したりと、Bizer teamのベストプラクティスを探り続けています。
チームであれば、掛け算で200%の成果を出すことも可能
――今後、どんなチームにしていきたいですか?
個人プレイヤーだったメンバー時代は、他のメンバーにアンテナを張ることができていませんでした。マネジメントのやり方としても、もし協業することで生産性が落ちるのであれば、思い切って「属人化に振り切る」という考え方もあると思います。
ただし、誰もが常にがむしゃらに頑張れるわけではありません。調子が良いときもあれば、悪いときもあります。個人の頑張りで100%を大きく超えるような成果を持続することは簡単なことではありません。チームは様々なバックグラウンドや個性を持ったメンバーで編成されています。チーム一人一人の力を掛け算すれば、150%、200%のシナジーを生み出すことも難しくはないでしょう。
新型コロナウイルスによって働き方への意識が大きく変わりましたし、ISSリアライズでは、RPAチームのような従来とは違う働き方をする組織も登場しています。「多様化するチームで、いかに成果を最大化するか」という命題は、今後はより重要性を増していくのではないでしょうか。