大手総合建設会社(スーパーゼネコン)を代表する企業である鹿島建設株式会社。企画・不動産開発から設計・エンジニアリング、施工、運営・管理、維持・修繕など幅広い分野の専門会社を有し、国内外のグループ会社は322社と、ゼネコン業界でNo.1の地位を誇っています。
今回は、鹿島建設株式会社で税務を担当されている財務本部 主計部税務グループ長 京極さん、税務グループ課長代理 手島さん、税務グループ課長代理 山本さんに取材し、Bizer team導入の背景や成果についてお伺いしました。
専門性の高さに加え、多様化する業務。ジョブローテーションで人材を固定化しない組織づくりが急務
――税務グループについて教えてください。
京極さん:
主計部 税務グループは、法人税や消費税といった法人に関わる税金の確定申告の作成・提出と税務調査対応を主業務としています。4~7月に確定申告、7~1月に税務調査対応を行い、税務調査が終わったら速やかに社内報告を済ませた後、2~3月は調査での指摘事例の周知や決算で注意すべき事項等を本社各部署と各支店に説明する機会に充てるサイクルで活動しています。
これまで、税務グループは5名で業務を行っていましたが、1名が子会社に出向になり、現在は4名で申告業務にあたっています。1名減ったのに業務量はむしろ増えている状況のため、人事部に増員希望を伝えながら業務を回しています。
――Bizer team導入前の課題を教えてください。
手島さん:
他部署の方からは、「税務業務は分かりにくい」とよく言われます。会計には四半期決算があるので馴染みがあるのですが、税務は支店や現場の方と局所的にしか接点がないため、業務内容をイメージしにくいようです。
京極さん:
税務の仕事が浸透していないことが人事異動にも直結していて、経理への異動はあっても税務への希望者は限られています。支店や現場の方も、関わっている工事がどのくらいの利益を生み出し、納税額はいくらなのかという感覚は必要ですが、本店資産である固定資産や有価証券など工事以外の利益に対する税務の関心はどうしても馴染みが薄くなってしまいます。
また仕事柄、国税局の方に説明する機会が多いという特殊性に加え、国際税務の複雑化に伴い業務の範囲も多様化しています。専門的な税務人材を育成する必要がありますが、適した人材を集める難易度は高く、人事が固定化するという傾向にあります。私のように20年以上も同じ部署にいて、ジョブローテーションがない場合、「属人化」にもつながっています。人材の固定化を防ぐために、「頻繁にジョブローテーションが行われる土壌」を作っていく必要があります。

最初は面倒でも、Bizer teamに入力すれば「未来の業務時間を短縮できる」ことが自分にとってのインセンティブ
――Bizer team導入の経緯を教えてください。
京極さん:
ジョブローテーションができる環境を整えるために、引き継ぎを意識して業務の手順等が分かり易いようにデジタルの管理ツールを入れることにしました。Excelで作成した簡易的なマニュアルはありますが、他人が作ったマニュアルを見て仕事の流れを覚えるのは現実的に難しい。そこで、Bizer teamを含めて複数のサービスに相談しました。比較検討した結果、まず費用面が想定より安かったこと、そして「これならマニュアルを見なくても容易に作成できる」と直感的な使いやすさを感じたため、Bizer teamを選択しました。
手島さん:
私が配属された8年前はまだ記録を残す文化がなく、マニュアルはありませんでした。丁寧にレクチャーを受けましたが、半年~1年に1度しか発生しない業務が多く、「前回はどうしたっけ?」と、思い出すことに時間をかけていました。京極さんと同じ課題感を持ちつつも、着任して数年間は仕事を覚えるのに一生懸命だったので、マニュアルづくりには着手できませんでした。
――導入はどのように進めましたか。
京極さん:
導入するにあたり、何から手をつけて良いのか分からなかったので、カスタマーサクセス担当に勧められた「業務一覧」を作成しました。メンバーにも声をかけて業務を洗い出し、Excelに入力してもらいました。業務一覧を整理しているうちに、業務の重複や組み換えが必要なことに気づき、Bizer teamに入力する業務の粒度のイメージも湧きました。この段階でかなりの業務が可視化されたので、導入作業の半分は達成したと思います。Bizer teamは組み換えや追記が簡単なので、メンバーには簡単な業務から入力して、使っていくうちに慣れてもらうように努めました。
手島さん:
Bizer teamを導入した当初は仕事も忙しかったために、「ちょっと仕事が増えるな」とも思いましたが、直感的で、マニュアルを読まなくても使えるのはとてもありがたいと感じました。でも、自分へのインセンティブとしてBizer teamに入力すれば未来の業務時間を短縮できるので、「1回入れておけば来年はすごく楽になるから、最初だけ頑張ってみよう」という気持ちに切り替え、時間を作って着手してみました。
実際に入力してみると、思わぬ発見がありました。自分の頭の中ではうまく仕事を回していたつもりでしたが、「他の人が見る」という観点でBizer teamに入力すると、見直すべきプロセスや関連づけが必要な資料があることに気がつきました。また、自分が作ったチェックリストを山本さんが修正した時に、「こんな視点もあるんだ!」と驚きました。
山本さん:
異動前にBizer team導入の話を聞き、「便利なツールが入るんだ」と嬉しく思いました。着任した時はBizer teamが導入された直後だったので、まだ整備された状態で引き継ぎを受けるという段階ではありませんでした。まず手島さんがBizer teamでタスクを作り、引き継ぎを受けながらチェックリストを補完し改善するところから始めました。前任者が不在で引き継ぎを受けられなかった業務は、残されていた簡易的なドキュメントやチームに同報されていたメールなどを見て、手順や作業内容を一つひとつ紐解きながらBizer teamに入力していきました。
手島さん:
前任者がいるうちに後任が配属されて引き継ぎをするのが理想ですが、必ずしもその順序にならないこともあります。山本さんが着任された時期にBizer teamも導入することになったので、「この時期に?!」というプレッシャーもありましたが、実際に入力してみると引き継ぎはとても楽でした。タッチ&ゴーでも業務の流れを見ながら後任が補完・改善しやすく、Bizer teamは引き継ぎ期間が短い会社にもおすすめです。

去年と同じリソースは不要!思い出す時間と作業をなくし、改善だけに注力することができた
――Bizer teamの成果を教えてください。
手島さん:
現在、私や山本さんの業務の8割ほどがBizer teamに入っています。必要な手順がひとつずつチェックリストとして表現されているので、やらなければならないことを毎度書き出して考え直すことがなくなりました。私がやることは、前年度の入力内容を今年度用にコピーして、「今回は対応不要」の機能を活用しながらチェックリストを改善するだけです。去年と同じリソースを割くことなく、時間も自分の頭も改善だけに注力することができる点が大きく違います。税務は1年に1度発生する業務が多いからこそ、思い出しながら進める業務がなくなったのは大きいと思います。
また、税務は対応スパンが長く法改正もあるため、しっかり作成したつもりでも、作りっぱなしだと業務が漏れてしまうことがあるんです。最新状況をBizer teamに反映せずに忘れてしまったら翌年の業務に影響するので、毎年過去に作成した内容を編集することも重要な業務の一つになっています。会社が使っているデジタルツールも変わるので、格納先やURLを修正すると必然的に効率も上がります。
京極さん:
上長の立場だと、ワークフローが見えるので、メンバーが今何をやっているのかが手に取るように分かります。また、進捗状況が分かるメールが毎日Bizer teamから届くので、次の承認プロセスの予測も立てられてマネジメント強化に役立っています。
――現在はどのようにBizer teamを活用されていますか?
手島さん:
メールでタスクを作れるのがとても便利です。メール文面もBizer teamのタスクの説明欄に入るようになっているので、質問対応の記録に活用しています。以前は、税務への質問内容と件数を把握するために、Excelで管理していました。Bizer teamなら、メールを送っておくだけで記録が残るので、とても簡単です。質問に答えるために個別に作成した資料で汎用的なものは、Bizer teamにポンと入れておけば、今後も誰かの役に立つはずです。思いついたものをどんどん入れて、手軽に記録を残せるのが気に入っています。

もうひとつ、チェックリストにリマインダー日時を登録しておくと、カレンダーに順番で表示される機能が重宝しています。例えば決算業務など、当日やらなければならない業務がたくさん詰まっている日でも、最初に手をつける業務が一目で分かるし、変更したい時はBizer teamのカレンダー上でドラッグ&ドロップすれば簡単に移動できます。繁忙期にすごく便利ですし、定型化したチェックリストなら初めから時間を設定しておけば良いので、いちいち業務の順番を考えずに済むのがとても便利ですね。

――これから取り組んでみたいことはありますか?
京極さん:
まだ構想段階ですが、2026年中に業務の一部を外注化したいと考えています。チームとしては1名減っているので、例えば、ある業務を私が担当したとしても、承認業務などの業務が後回しになり、一連の業務が完結しないことになります。業務を効率化してリソースを空けられたら、別のことを対応する時間として確保できます。ジョブローテーションで希望通りに人材が配属されるとは限らないので、Bizer teamを活用し業務をできるだけシンプルにして、外注する準備を進めたいと思っています。社員が対応すべき業務に特化できる体制を目指しています。
利益に直結し、ビジネス上のインパクトも大きい税務の仕事。これからも必要とされるチームでありたい
――今後、どんなチームにしていきたいですか?
山本さん:
税務は個人で仕事をする側面がありますが、ひとりだと行き詰ってしまうこともあるので、お互いに相談しやすい組織だと仕事がやりやすくなります。税務は国税局の判断に委ねるため、明確な正解が無いこともあります。これからも、チームで税務を考えていきたいと思っています。
手島さん:
上・下・横関係なくフラットに意見を交わせて、気軽に議論ができるようなチームが理想ですね。上長が言うからやるのではなく、メンバーの視点と会社の事情を話し合えるような、風通しの良いチームを作りたいと思います。
京極さん:
冒頭でもお伝えした通り、税務は他の職種から見ると担当する社員が少なく、業務内容が分かりにくい仕事です。でも、扱う金額はとても大きく、会社に対して大きな責任を負っています。例えば営業が5千万円を稼ぐには膨大な時間やコストがかかりますが、国税局に認められた取引であれば、1億円の税金が節税できることもあります。そういう意味では、バックオフィスの中では唯一、利益獲得に直結する業務であり、ビジネス上のインパクトが大きくやりがいのある仕事とも言えます。これからも、税務がより必要とされて、経営層からも評価されるチームでありたいと考えています。

