人事労務関連のSaaS(Software as a Service、サービスとしてのソフトウェア)の導入支援や設定代行を行っている同社。様々なツールの特徴を熟知し、顧客の課題に合わせたコンサルティングを行っています。また、人事労務関連SaaSを比較・体験できるプロジェクト「CLOUD STATION」の一環として、「神楽坂ショールーム」なども運営されています。
今回は、代表の杉野さん、プロダクトサポートの志岐さん、カスタマーサクセスの大木さんに取材し、Bizer teamの導入経緯や成果、テレワークにおける働き方をご紹介します。
テレワーク最適化の課題は「阿吽の呼吸」の廃止だった
――Bizer teamの導入経緯を教えてください。
杉野さん:
Bizer teamは前職から使っていたので、よく知っていました。志岐さんとTECO Designを創業して、3人目が入社するタイミングでBizer teamを導入しました。入社の3週間後頃に、お子さんがインフルエンザになって、いきなり休むことになりました。幸いにもBizer teamにタスクを入れた後だったので、担当業務を全部洗い出すことができました。それから丸2年が経ち、業務委託の方を入れて16名の会社に成長しましたが、今でもほぼ全員がBizer teamを使っています。
――新型コロナウイルス以前から、貴社はテレワークを実施されていますね。
杉野さん:
創業して1カ月まではオフラインの仕事スタイルを続けていたので、テレワークを実現するのは難しいのかなと、モヤモヤした気持ちがありました。でもある朝、「仕事をテレワークに合わせて最適化していないからうまくいかないのだ」と気づきました。働き方をテレワークに合わせて変えていったら、導入が一気に加速したんです。
「テレワークに合わせた働き方」とは、「阿吽の呼吸」をやめること。初期のBizer teamはタスクが進捗しているか確認するだけの、単なる「やることリスト」でした。よく知るメンバーで構成されていたので、チェックリストの品質まで気にする必要がなかったんです。しかし、徐々に新しいメンバーが増えてくると、「阿吽の呼吸」だけでは思うように業務が進まなくなっていきました。
そこで、やることを明確にして、テキストや動画にしてBizer teamに残すことに。たいていの場合、業務の説明をすると「作業のやり方や手順」をメモしますが、本当に理解して欲しいのは「背景や目的」。作業はBizer teamに書いてあるからメモしなくていい。その代わり、Bizer teamには、テキストは誰が見ても分かるくらい丁寧に書く、絵文字を入れて親しみやすくする、動画やマニュアルへのリンクを紹介するなど、第三者への伝わりやすさを徹底しました。単なる「やることリスト」だったBizer teamの役割が、会社のフェーズ(状況)とともに「業務が集約されたツール」に変化したということですね。
大木さん:
業務を覚えるためのトレーニングシートもBizer teamにあるんです。入社したら、動画とトレーニングのステップを踏むことで、業務に必要なスキルが一通り身に着くようになっています。チェックリストを1つずつ消してしていくので、楽しくトレーニングすることができました。
杉野さん:
テレワークでも社内のコミュニケーションを活性化するために、いくつかのルールを定めています。例えば、Slackに「給湯室」という雑談スレッドや、自己紹介と写真や動画を共有する交換日記のようなスレッドを設けたり、月に1回「お茶会」という名のオンラインで会話をする機会を作ったりしています。また、DM(ダイレクトメッセージ)は禁止していて、できるだけオープンに、自己開示をしてもらうようにしています。だから仮に、全員に「BBQをやるとしたら、誰が何を担当するか?」というお題を出したら、きっと回答の8割が全員一致するくらい相互理解ができていると思いますよ(笑)
定期的にBizer teamを“パトロール”し、進捗と業務管理を行う
――Bizer teamの成果はありましたか?
杉野さん:
たくさんのプロジェクトを抱えると、何がどこまで進んでいるのか分からなくなります。Bizer teamを使用する前は、顧客ごとの進捗を思い出すのに時間がかかっていました。現在では、Bizer teamがないと業務が進まなくなっています。また、「あの資料はどこにあるんですか」「次に何をするんでしたっけ」といった質問もほぼ出なくなりました。進捗を思い出したり、資料を探したり、分からないことを質問したりといった時間は、積み上げると業務の大半を占めています。非生産的な時間はできる限りITで解決して、付加価値を生み出す時間を最大化したいと思っています。
ただ一方で、極限まで効率化を突き詰めてしまうと、8時間も集中力は持たないでしょう。そのために、雑談やお茶会などを設けて、メリハリをつけるようにしています。
――導入が成功したポイントは何でしょうか?
志岐さん:
注意していないと、滞っている業務に気づくことができないので、最終納期の手前に仮納期を設けて、定期的にBizer teamをチェック、いわば“パトロール”するようにしています。時短やフルタイムなど、メンバーによって働く時間が異なるため、パトロールではメンバーのタスク数を注視しています。時短のメンバーにタスクが集中していたり、納期直前や期限を過ぎたタスクを複数担当していたりする場合は、タスクを見直したりみんなで分担したりして、負荷が集中しないようにしています。“パトロール”によって、進捗確認と同時に業務管理もしている状態ですね。
杉野さん:
正しくチェックリストを更新することが大事なのではなく、業務の抜け漏れがない状態をキープすることがBizer teamの目的。定期的に実施される「パトロールの日」に、志岐さんが滞っている案件をたたき起こしてくれています(笑)
フェーズの変化に合わせ、今後はBizer teamによって業務標準化を目指す
――Slackとの使い分けはどのようにされていますか?
杉野さん:
Bizer teamとSlackは2つのオフィスを持っているようなイメージです。Slackには雑談のスレッドも設けられていて、カラフルなオリジナルスタンプも充実している、ふわっと緩やかな雰囲気。一方で、Bizer teamはタスクを管理しているので、背筋が少し伸びるような、シュッとした執務室という雰囲気があります。
SaaS利用目的は、会社の課題によって異なります。我々は「案件の進捗管理」という課題があって、解決のためにBizer teamを導入しました。Slackは「社内コミュニケーション」という課題を解決するツールです。何でもできる多機能ツールを導入する、使用ツールのどちらか一方に寄せる、といった考え方もありますが、我々は「顕在化している課題の解決」を重視して、用途に合わせて複数ツールを使い分けています。
――今後、他の業務での活用イメージはありますか?
杉野さん:
会社のフェーズが変わると、Bizer teamの役割も変わります。例えば、年間100件の案件を受け入れる体制はできていても、200件になると同じところで滞ってしまう。属人化しているために、特定の人に負荷がかかりすぎてしまうんです。属人化というボトルネックを解消するために、これからはBizer teamを業務の標準化に使っていきたいです。そのために、Bizer teamのタスクの粒度はだんだんと細かくなっています。ベテランメンバーが牽引していた業務を次世代のメンバーに任せて、見守るというフェーズですね。そして、Bizer teamの中身も完成形はなく、状況に応じてどんどん進化していく、まさに「Wikipediaのようなもの」ですね。
働き方への価値観が多様化しても、“楽しい”チームでありたい
――今後、どんなチームにしていきたいですか?
大木さん:
お子さんがいるメンバーが多く、お子さんの都合で急に休んだり、仕事に遅れが出たりすることもあります。でも、ご家族を優先してほしい気持ちがありますし、お互いに負担を感じることがないように、情報共有を大事にしています。Bizer teamは誰が見ても分かりやすく、細かく書くようにしています。
志岐さん:
私のチームは人事労務経験者の割合が高いので、それこそ属人化していて自分が休みたいのに休めないとか、無理やり仕事をしてきたという経験を持っているメンバーが少なくありません。だからチームは鉄の結束ができていて、お互いに休みはしっかり取って欲しいと強く思っています。いつでも交代できるようにBizer teamに業務内容をしっかりと残して、思いやり文化で支え合っています。
杉野さん:
昔に比べたら日本も成熟して、働くことに対しての価値観が多様化しているように思います。仕事の価値はお金だけじゃないという人もいるけれど、やっぱりお金は重要。やりがいがないと続かない人もいれば、やりがいなんて不要な人もいる。仕事に求めるものは複雑化していますが、シンプルに “楽しい”チームでありたいですね。例えば僕が「ラーメン屋をやりたい」と言ったら、メンバーそれぞれの得意分野を生かして、「器を選びたい」「レイアウトを考えたい」「スープを研究します」と、自発的に意見が出るような。そんなチームを目指しています。