在留資格を正しく理解して、優秀な外国人を採用しよう
優秀な人材であれば日本人に限らず採用をしたい。
でも、外国人を雇用する場合って、日本人の場合とどう変わるんだろう…
「ビザ」、「在留資格」を確認、というのもよく聞くけど、具体的に何を確認したら良いかわからない…
そんなお悩みを抱えている経営者の方もいらっしゃると思います。
今回は、そんなビザ・在留資格の注意点について、専門家の方にお話しいただきました。
ビザ(査証)と在留資格
はじめまして。行政書士の大戸と申します。
主に、在留資格・ビザ・帰化の手続きを中心に外国人の方や経営者の方のお手伝いをしております。
今回は、初めて外国人を採用する際のビザ取得に関する注意点です。
「ビザ(査証)」とは、日本入国のための条件として事前に、在外日本公館において旅券(パスポート)に受けるものです。
他方、「在留資格」とは、外国人が日本に滞在する根拠となるもので、「出入国管理及び難民認定法」に定める活動を行うことができる資格を指します。
今回のお話は、外国人が日本に滞在して就労できる根拠である「在留資格」に関するものとなります。
外国人の単純労働への採用はダメ!
日本では、原則として、単純労働に関する在留資格は認められていません。
例えば、飲食店のウェイターやコンビニエンスストアの店員、宅配便のドライバーなどです。
現在、飲食や物流の業界で人不足が深刻となっていますが、原則として、外国人を現場スタッフとして雇うことができないのです。
例外として、就労制限の無い永住者や日本人の配偶者等、または、資格外活動許可を得た留学生は現場スタッフとして雇うことができます。
採用前の面談では、必ず「在留カード」を確認してください。
在留カードの具体的な確認項目は以下となります。
- 永住者や日本人の配偶者等については、表面の在留資格欄に「永住者」や「日本人の配偶者等」の記載と、就労制限の有無欄に「就労制限なし」の記載があるか。
- 表面の在留資格欄に「留学」の記載のある留学生については、裏面の資格外活動許可欄に「「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」との記載があるか。
採用するなら大学または専門学校を卒業した外国人
会社が外国人を雇う多くの場合、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格が必要となってきます。
その際、外国人が卒業した大学または専門学校の専攻と会社で予定している業務の関連性が最も重要です(①留学生の学歴に関して「従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること」、および、②会社の予定業務に関して「自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動であること」という要件が含まれているためです)。
例えば、経営学を専攻して大学を卒業した留学生が国際マーケティング業務に従事する、会計学を専攻して大学を卒業した留学生が国際貿易の会計業務に従事するなどがあります。
今後は、IT学を専攻して大学を卒業した留学生がAIやIoTなどの最先端の分野の業務につくことも想定されます。
なお、専門学校卒業の場合、大学卒業の場合よりも専攻科目を狭く判断する傾向がありますので、注意が必要です。
参考:法務省「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について
翻訳・通訳・語学の指導等の業務について3年以上の実務経験が必要
翻訳・通訳・語学の指導等の国際業務の場合、3年以上の実務経験があれば、前述の大学や専門学校の卒業歴が無くても、在留資格を取得できる可能性あります(前述の技術・人文知識の業務の場合、大学等を卒業していなければ10年以上の実務経験が必要となります。)
注意すべきは、翻訳・通訳・語学の指導等が予定業務の大半を占める必要があります。
例えば、訪日外国人観光客ツアーに通訳として同行して通訳業務を行ったり、英会話スクールの講師として生徒に英語を指導するなどです。
他方、温泉旅館のスタッフとして掃除・給仕が主な業務で、時々、外国人観光客の通訳を行う等は認められません。
なお、大学を卒業した者が翻訳・通訳・語学の指導に従事する場合、実務経験は不要となります。
日本人と同額以上の給与等の受け取りが必要
雇われる外国人は、会社との雇用契約に基づいて日本人と同額以上の給与等を受け取る必要があります(「日本人が従事する場合に受ける報酬と同額以上の報酬を受けること」)。
目安は月額20万円以上とされていますが、日本人でも月額20万円未満の業務については、その同額で認められる可能性があります。
在留資格についてご不明な点等がございましたら、お気軽にお問合せください。
大戸 浩二
行政書士法人アーネスト法務経営事務所 行政書士。 【外国人のビザ・在留資格・帰化手続き】に特化して営業しております。 中学生からのサッカー好きが高じて【日本サッカー協会仲介人】としても活動し、外国人選手をJリーグクラブに売り込んでいます。 都内からも近くアクセスのよいさいたま市南浦和に事務所があります。 【経営者の伴走者】として一緒に事業を成功させたいと思います。 弁護士・行政書士・社労士・不動産会社で構成するグループがお客様の問題を総合的に解決します。