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助成金を活用して「働き方改革」を始めよう!

「働き方改革」=「残業の削減」?

働き方改革」を「生産性を向上して残業を削減すること」と考える経営者は少なくありません。
しかし、「残業の削減」だけが「働き方改革」であると考えてはいけません。

残業の削減といった「働く時間」の改革も重要ですが、企業における働き方改革は「働く時間」の改革と「働く場所」の改革を2つの柱として考えてください。
違法な長時間労働が行われている場合は直ちに是正すべきということは言うまでもありませんが、2つの改革のうち、違法性の無い企業において最初に取り組んで頂きたいのは「働く場所」の改革です。

働く場所」の改革に着手することで、「働く時間」の改革への相乗効果が期待できます。
働く場所」の改革を進める有効な方法のひとつとして「在宅勤務(テレワーク)制度」の導入があります。
なお、テレワークの導入は政府による「働き方改革実行計画」の施策のひとつとして積極的に推奨されており、国や都道府県が助成金制度を運営しています。
働き方改革にかかる会社の費用を軽減する観点からも、助成金を活用したテレワークの導入は有効と考えます。

最大150万円が支給される「職場意識改善助成金」 (テレワークコース)

厚生労働省が管轄する「職場意識改善助成金」 (テレワークコース)は、中小企業を対象に、在宅勤務制度(以下、テレワーク)の導入にあたって生じた費用を助成する制度です。
支給対象となる中小事業主は以下の通りです。

支給の申請を行うには、テレワークの導入・実施に関して、以下6つの取組のうちいずれか1つ以上実施する必要があります。

これら支給対象の取組を実施するにあたり生じた機械装置等購入費、クラウドサービスの利用料(最長6か月分)、社会保険労務士へのコンサルティング費用等が助成対象となります。
助成される金額は、厚生労働省が定める「成果目標」の達成状況と、テレワーク勤務者の人数に応じて決定されます。
なお、「成果目標」が未達成の場合でも、その他の要件を満たせば助成金の支給対象となります。

厚生労働省が定める「成果目標」や、その他の支給要件は下記の厚生労働省のウェブサイトを参照してください。
参考:職場意識改善助成金(テレワークコース)

どの部署からテレワークを導入すれば良いか?

テレワークの導入は、総務部、経理部、人事部などのバックオフィス業務を担当する間接部門から始めると良いです。
間接部門のうち、働き方改革の運営を担う部署(人事部、総務部等)が特に適しています。
これらの部署がまず自身でテレワークを体験することで、よりスムーズに他の部門へのテレワーク導入を横展開できます。

また、間接部門に対し、取引先等の社外関係者へのサービス提供に影響を及ぼす可能性がある直接部門についてはテレワークの運用をより慎重に検討する必要があります。
そのため、管理部門の間接業務からテレワークの導入を初め、万が一運用上の問題が生じたとしても、問題を社内に留められる範囲内で開始することが望ましいです。
加えて、管理部門にテレワークの環境を用意することは、急な怪我や病気、育児・介護等の理由により在宅勤務を一時的に希望する社員が生じた際の配置転換先としても有効です。

比較的単純な間接業務等、テレワークで実施できる仕事があれば、直接業務に従事していた営業社員等を一時的に間接業務へ配置転換して、在宅でその業務を担当してももらうことができます。
急に会社に行けない事情が発生しても在宅で仕事を続けられる環境を会社が準備しておくことは、社員の安心感の向上と、離職の予防効果に繋がります。

テレワークの導入のために何から始めれば良いか?

業務改善コンプライアンス、2つのアプローチが必要です。
1つ目の業務改善については、まず「不要な紙を無くす」という観点を持ってください。
例えば、以下のような取り組みは直ぐにでも始めるべきでしょう。

  • 社内申請書や稟議書をクラウド型のワークフローシステムに変えられないか
  • 紙で保存している資料をデータ保存に変えられないか
  • これまで印刷して配布していた会議資料をウェブ配信に変えて会議自体もウェブ上で行えないか 等

不要な紙を無くす」という取り組みはテレワークの導入のためでもありますが、印刷代の削減や労働生産性の向上にも繋がります。
これらの取り組みにあたってシステムの導入が不可欠ですが、クラウド型のシステムであれば初期投資を抑え、社員一人あたり月額数百円の利用料から始めることができます。
リンク・アクト社会保険労務士事務所でも、一人あたり月額500円のクラウド型システムを購入し、セキュリティを備えたウェブ会議システムとクラウド型の共有ファイルサーバーを利用しています。

在宅勤務イコール「みなし労働時間」ではない

コンプライアンス(法令遵守)の観点においてはまず、「在宅勤務であっても、みなし労働時間制が必ず適用されるわけではない」という理解が重要です。
在宅勤務者にみなし労働時間制を適用することは可能ですが、就業規則や労使協定書等の整備を事前に行ったうえで、労働基準法等の法令に従った運用をすることが条件となります。
特に運用面については、経営者や人事責任者が在宅勤務者に対する労務管理について、正しく法律を理解していないと、未払い残業などで労働基準監督署の是正対象となるリスクがあります。

これらの在宅勤務に関する社内研修の講師料や、就業規則や労使協定書等の整備などにかかるコンサルティング費用も、「職場意識改善助成金」 (テレワークコース)の助成対象となっています。
テレワークの導入は一見ハードルが高そうですが、クラウドシステムの進歩と助成金の充実により、ここ数年で飛躍的に導入しやすくなりました。
働き方改革の第一歩として、助成金を活用したテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

リンク・アクト社会保険労務士事務所

「IT×社労士」をコンセプトとした新宿西口駅前の社会保険労務士事務所です。 スタートアップ企業から数百名規模まで、人数を問わずIT企業の労務顧問を数多く経験しています。 事務所ウェブサイトは代表社労士が自ら作成しています。 是非一度ご覧ください。 https://linkact.jp/