専門家が語る

年末調整は源泉徴収票を作るだけじゃない!?法定調書合計表と支払調書の書き方のポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

年末調整って何をするの!?(年末調整の手順)

%e6%b3%95%e5%ae%9a%e8%aa%bf%e6%9b%b8

サラリーマン時代、保険料控除申告書を記入するために生命保険控除の計算をさせられたり、生命保険のハガキも添付して会社に提出を要求されたりして、年末調整ってなんて面倒なんだろうと思っていました。だけど、自分で全部やってみたらとんでもなく面倒だった・・・。

ようやく源泉徴収票を作り終わってやれやれと思ったら、年末調整はこれで終わりじゃなかったの!? 

<年末調整の全体の流れ>

%e5%b9%b4%e6%9c%ab%e8%aa%bf%e6%95%b4%e3%81%ae%e6%b5%81%e3%82%8c

本コラムでは、上図の「④法定調書の届け出」に該当する年末調整で税務署に提出しなければならない『法定調書合計表』と報酬の『支払調書』の記載について解説します。

※「①年末調整の準備」については、以下のコラムをご参照ください。

【参考】

年末調整に必要な書類の回収は紙?それともクラウドで行う? 知っておくと便利な方法 とは!?

今年の年末調整時にはマイナンバーの収集が必須です! マイナンバーの収集方法や管理 する上での注意点について

 

年末調整で作成する書類と、その提出先は?

相談者
サラリーマン時代は、生命保険のハガキを会社に提出したり、扶養控除等申告書や保険料控除申告書に記入したりして、年末調整って面倒だなーって思っていましたけど、いざ自分が起業したから、自分で社員の「源泉徴収票」を作ってみたら、こんなに大変な作業だったなんて・・・。総務の人の大変さが身に染みてわかりました。

 

村田税理士
そうですよね。でも、実は、年末調整は源泉徴収票を作っておしまいではないですよ。

 

相談者
え!? もう、だいぶやりきった感で いっぱいなんですけど・・・。 まだ作る書類があるのですか?

 

村田税理士
年末調整は、社員から受け取った扶養控除等申告書や保険料控除申告書などの書類から生命保険控除等の控除額を反映して「年間収入を計算」し、「年間所得税の計算」をした後に所得税の過不足(還付・支払い)の調整をします。

 

また、年末調整の作業にあわせて、後に社員が居住する市区町村に提出する「給与支払報告書(個人別明細)」などを作成して、「年間住民税の計算」をするための資料を市区町村に提出します。

 

<年末調整の作成書類と提出先>

%e5%b9%b4%e6%9c%ab%e8%aa%bf%e6%95%b4%e3%81%ae%e4%bd%9c%e6%88%90%e6%9b%b8%e9%a1%9e%e3%83%bb%e6%8f%90%e5%87%ba%e5%85%88

村田税理士
所得税は税務署が管轄して、住民税は給与をもらう役員・社員の居住する市区町村が管轄なので、それぞれに対し書類を提出する必要があるということです。

 

相談者
なるほど、年末調整で計算した年収や控除の情報は、社員に交付するだけじゃなくて、所得税・住民税を課税するために、税務署や市区町村などの役所に報告する必要があるのですね。

 

村田税理士
はい、今回は税務署に提出する書類について見ていきましょう。

 

税務署に提出する書類とは?

村田税理士
税務署には、会社が1年間に支払った給与や源泉所得税の合計額を記載する「法定調書合計表」と、法人の役員のうち給与等の支払金額が一定金額以上の人や、税理士等への報酬を支払った人の「源泉徴収票」を提出します。

 

相談者
あれ?「源泉徴収票」は、すべての社員分を提出する必要がないということですか? 税務署が所得税を計算するために提出するんですよね?
村田税理士
はい。すべての人の源泉徴収票を提出する必要はないんです。

なぜかというと、年末調整の計算を行うときに、会社で全社員の所得税の金額を計算しましたよね?

会社で正しく所得税の計算がされているということで、税務署には合計金額を集計したものと、一定金額以上の給与の人の明細だけを提出すればいいということになっているからなのです。

【参考】 税務署へ源泉徴収票の提出が必要な人

国税庁タックスアンサー:No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数

相談者
そうなんですね。年末調整のときに作った「源泉徴収簿」とか、保険料控除申告書の計算のために社員から収集した生命保険控除のハガキとかは、税務署に提出しなくてもいいのですね。では、それらの証憑(取引の成立を立証する書類)はどうすればいいんですか?
村田税理士
税務署から照会があったときに、きちんと提示できるように7年間は会社で保存しておいてください。

法定調書合計表の書き方

%e6%b3%95%e5%ae%9a%e8%aa%bf%e6%9b%b8%e5%90%88%e8%a8%88%e8%a1%a8%ef%bc%91

村田税理士
それでは、会社1年間に支払った給与の合計金額や源泉徴収した合計金額を集計して記載する「法定調書合計表」の記載方法を見ていきましょう。まずは一番上の「給与所得者の源泉徴収票合計表」の欄を記載します。

 

 

給与所得の源泉徴収票合計表の書き方のポイント

%e2%91%a3

相談者
なんだか所得税の納付書みたいな記載ですね。
村田税理士
はい、この法定調書合計表に記載する金額は1月~12月分の源泉所得税の納付書の金額を集計すればOKです。

(源泉所得税の納期の特例を受けている場合は7/10納付と翌年1/20納付の納付書を集計、納期の特例を受けていない場合は2/10納付から翌年1/10納付の納付書を集計)

 注意点としては、

(1)金額を集計する納付書は、その年に納付した源泉所得税の納付書ではなく、その年に支払った給与に関する納付書を集計します。

(2)中途入社の社員については、前職での給与や源泉徴収の金額は含めません。その会社で支給した給与、源泉徴収した所得税の金額を記載します。社員に渡す源泉徴収票では、前職の給与や源泉徴収の金額を含めているのとの違いに注意。

相談者
表の中で、「B 源泉徴収票を提出するもの」というのは?
村田税理士
これが先ほど話した、一定金額以上の源泉徴収票を提出する人のことです。以下の人達の分の源泉徴収票の金額を集計します。

<税務署に源泉徴収票の提出が必要な人>

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-11-25-19-08-15

【参考】

国税庁タックスアンサー:No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数 


村田税理士
注意点として、該当者の源泉徴収票の金額を集計するため、中途入社の人については「前職の金額を含めて」記載します。

相談者
さっきは前職の金額を含めず、ここの欄では前職の金額を含めるんですね。ちょっと、ややこしいですね。

 

%e2%91%a4

 

村田税理士
これで、法定調書合計表の「1.給与所得者の源泉徴収票合計表」の箇所は記載完了です。

 

相談者
この書類、記載するのは給与の源泉所得税だけじゃないんですね。なんだか記載する箇所がいっぱいありますね。

1.給与所得者の源泉徴収票合計表

2.退職所得の源泉徴収票合計表

3.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表

4.不動産の使用料等の支払調書合計表

5.不動産の譲受けの対価の支払調書合計表

6.不動産の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書合計表

村田税理士
多くの会社では、「3.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表」と「4.不動産の使用料等の支払調書合計表」以外は該当する取引はないと思いますので、「3.」と「4.」を説明しますね。

 

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表の書き方のポイント

%e2%91%a5

 

相談者
ここにはデザイナー等への支払いと、税理士等に関する源泉所得税の納付書の金額を集計すればいいんですね。
村田税理士
気を付けなければいけないのは、源泉所得税の納付書は個人に対する支払いで源泉徴収をするものについてのみ記載しますが、この法定調書合計表では源泉徴収の対象ではない税理士法人などに対する支払い金額についても集計して記載する必要があります。

【参考】

国税庁質疑応答事例 法人に対して支払った報酬等

■照会要旨

A社は、B社に対して測量費用を支払いましたが、支払先が法人であることから源泉徴収はしていません。この場合でも、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出は必要ですか。

■回答要旨

照会の報酬は、所得税法第204条第1項第2号の報酬等に該当しますので、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出を要することとなります。

相談者
なるほど、ちょっと複雑ですね。ウチの場合は顧問の社労士法人と商標申請時の特許事務所への支払いも集計する必要がありますね。
相談者
表の下のところの「(B)(A)のうち、支払調書を提出するもの」というのは、また一定金額以上の人の分を集計するのですか?
村田税理士
正解です。税理士等(法人含む)は5万円超の場合に提出対象となる。提出対象者としてはこれだけ覚えておけばOKです。

【参考】

国税庁タックスアンサー No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲は、次のようになっています。

(4) 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの

(5) 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの

提出範囲の金額については、消費税及び地方消費税の額を含めて判断しますが、消費税及び地方消費税の額が明確に区分されている場合には、その額を含めないで判断しても差し支えありません。

村田税理士
この支払調書、税理士等のマイナンバーも記載する必要があるというのが今年の一番のポイントです。提出対象となる税理士等には、今のうちからマイナンバーの提出を依頼して準備しておきましょう。

%e6%94%af%e6%89%95%e8%aa%bf%e6%9b%b8

 

不動産の使用料等の支払調書合計表の書き方のポイント

%e2%91%a7

村田税理士
最後に不動産の使用料等の支払調書合計表ですが、まず「(A) 使用料等の総額」には土地や建物、駐車場等の不動産の賃料・礼金・更新料の合計金額を記載します。
相談者
敷金は記載しないのですか?
村田税理士
敷金や保証金は将来返還されるものなので、使用料等には含まれません。
村田税理士
あと、細かい点として、オフィスの賃料は通常前月末に翌月分を前払いしますが、「(A) 使用料等の総額」には前払家賃の金額も含めて記載します。

【参考】

国税庁質疑応答事例 前払家賃の記載方法

■照会要旨

A社は、家主B(個人)と各月分の家賃を前月の末日までに支払う旨を定めた建物賃貸借契約を締結しています。

建物の賃借は10月から開始していますが、この場合、「不動産の使用料等の支払調書」の「支払金額」欄には10月分から12月分の家賃に相当する3か月分の支払金額を記載すればいいのでしょうか。

■回答要旨

照会の場合、その年中に支払うべき金額である10月分から翌年1月分の4か月分の家賃に相当する金額を「支払金額」欄に記載します。

「不動産の使用料等の支払調書」の支払金額は、所得税法施行規則第90条第1項第2号において「その年中に支払の確定した対価の金額」と規定されています。この「確定した対価の金額」とは、原則として、相手方にその支払を請求し得ることとなった金額をいうものと解されています。

したがって、照会の場合、その年中に支払うべきことが確定している対価の金額は、10月分から翌年1月分の4か月分の家賃の金額となり、その4か月分の家賃に相当する金額を「支払金額」欄に記載することとなります。

相談者
で、これもまた「(B)(A)のうち、支払調書を提出するもの」の欄があるのですね。
村田税理士
ざっくり15万円超の支払いで、個人への支払いの場合と、法人への礼金や更新料などの一時払いの支払いが対象となります。

 

<不動産関連:支払調書の提出有無の判定簡易チャート>

%e6%94%af%e6%89%95%e8%aa%bf%e6%9b%b8%e3%81%ae%e6%8f%90%e5%87%ba%e6%9c%89%e7%84%a1%e3%81%ae%e5%88%a4%e5%ae%9a%e7%b0%a1%e6%98%93%e3%83%81%e3%83%a3%e3%83%bc%e3%83%88

 

今年(平成28年)からマイナンバーの記載は必須!

相談者
で、これもマイナンバーの記載が必要なんですね。
村田税理士
はい、ネットで検索すると古い様式が検索されたり、去年のものを使用したりするとマイナンバーの記載がない様式になってしまう危険性があるため、最新の様式を使うようにしてください。

 

【参考】

国税庁 税務手続の案内>法定調書関係

相談者
税務署に提出する法定調書合計表と支払調書、税理士とか不動産の賃料とかマイナンバーも集計しておく必要があるのですね。事前に準備しなければならない情報が分かって良かったです。

 

複雑な年末調整を専門家に依頼して本業に集中したい

年末調整に関する書類作成(源泉徴収票、給与支払報告書、法定調書合計表、報酬の支払調書)を専門家に代行依頼することができます。特に給与支払報告書や法定調書合計表などは、書き方がわかりづらく難しいため、専門家に丸投げしてみても良いかもしれませんね。Bizerのユーザー様であれば、16,500円(税抜)から依頼することができます。

※今回のコラムにあった年末調整で還付があったときの「納付書作成」や「税務署への還付申請」は、サービス対象外です。

詳しくは、「年末調整代行サービス」まで

 

わからないことは頼れる専門家(士業)に何度でも相談しよう

Bizer(バイザー)では、今回の年末調整など関する事柄に限らず、バックオフィス業務(総務・労務・経理・法務・知財など)についても頼れるBizer認定士業に月額2,980円で何度でもご相談いただけます。Bizerコンシェルジュがあなたのご相談をお伺いし、適切な専門家(税理士社労士司法書士行政書士弁理士)にお繋ぎいたします。

※トライアルの場合は、「ToDoリスト」機能のみ30日間無料で使用できます。

詳しくは、[クラウド顧問サービス|Bizer(バイザー)]まで

 

できるだけ節約してバックオフィス業務を自分でやってみたい

できるだけお金をかけないで会社運営に関わるバックオフィス業務(従業員、雇用、給与、賞与、役員、役員報酬、取締役、移転、株式に関する事柄など)を自分で調べながらやってみたいという方には、Bizerのユーザー様なら無料で使用できる「ToDoリスト」機能(※)をぜひご利用ください。

「ToDoリスト」機能では、バックオフィス業務に必要な手続きの手順を確認したり、「いつまでに」「なんの書類を」「どの役所に提出する」のか調べたり、進捗管理をすることができます。

また、その都度、わからないところは専門家(税理士、社労士、司法書士、行政書士、弁理士)に何度でも相談できるため、できるだけ自分で金額をおさえてバックオフィス業務を完了されたい方にはオススメの機能です。

※トライアルの場合は、「ToDoリスト」機能のみ30日間無料で使用できます。

詳しくは、[Bizer(バイザー)]まで

 

村田 光平 むらた こうへい

村田 光平

公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。