今年の年末調整時にはマイナンバーの収集が必須です! マイナンバーの収集方法や管理する上での注意点について
今年の年末調整時には、マイナンバーの収集は必須!
平成27年10月5日から国民ひとり一人に通知されたマイナンバー。このマイナンバーですが、平成28年1月から本格的に利用が開始され、平成28年1月以降に発行する源泉徴収票や支払調書にはマイナンバーの記載が義務化されました。
そのため、今年の年末調整では、「平成28年分 扶養控除等申告書」などの年末調整に必要な書類を従業員から回収するときに、従業員とその扶養家族のマイナンバーを収集する必要があります。
年末調整に必要な資料を回収する方法については、以下のコラムをご参照ください。
マイナンバーは、「特定個人情報」と定義づけられており、厳格な取り扱いが要求されている個人情報です。絶対に流出させることが無いよう厳重な管理が必要になります。現段階では、そういった理由から社員からマイナンバーを集めることを先送りにしている会社も少なくはないでしょう。
しかしながら、今年の年末調整からは、いよいよ先送りをすることができない状況になってきました。
そこで、本コラムでは、年末調整を前提に、マイナンバーの集め方について、以下の3つの方法を紹介いたします。
1.扶養控除等申告書にマイナンバーを記載して提出してもらう方法(取得から廃棄まで紙で管理)
扶養控除等申告書にマイナンバーを記載して提出してもらうという、原則通りの対応方法です。社員には、マイナンバーを含め、書式に沿って記入することを伝えれば良いので、アナウンスの仕方は最も簡単です。
しかし、この方法の場合は、マイナンバーの記載された「扶養控除等申告書」を回収する際には、細心の注意が必要です。
あらかじめ回収担当者を決めたり、回収した扶養控除等申告書をどこに保管するかを考えたり、金庫や鍵付きの書庫などを用意しておく必要があります。
マイナンバーが書かれた「扶養控除等申告書」は、年末調整の担当者以外が不用意に閲覧できないよう、利用するときだけ金庫や書庫から取り出し、利用し終わったら、すぐに所定の保管場所に戻して施錠しましょう。
2.マイナンバー専用の用紙にマイナンバーを記載して提出してもらう方法(取得から廃棄まで紙で管理)
「扶養控除等申告書」のマイナンバーの記載欄は、空白のまま提出してもらい、マイナンバーは別の方法で集めるという方法です。
※マイナンバーは、法律上では原則として扶養控除申告書に記載しなければなりません。ただし、各会社の実態に合わせたマイナンバー管理を可能にするために、マイナンバー欄を空欄にした上で、「マイナンバーは別途提出」と余白等に記載して別管理にするなどの対応も、実務上は認められています。
扶養控除等申告書とは別の紙でマイナンバーを集めるならば、日本法令[こちら]が出している「マイナンバー収集・保管セット」が使いやすいでしょう。扶養控除等申告書はこれまで通り扱い、税務署に提出する源泉徴収票を作成するときだけ、金庫や書庫に別保管しているマイナンバー情報を見に行くという管理方法です。
3.クラウドシステムでマイナンバーを管理する方法(取得から廃棄までクラウドシステムで管理)
従業員ひとり一人がメールアドレスを持っているならば、「マイナンバー管理freee」や、「MFクラウドマイナンバー」といった、クラウド型のマイナンバー管理ソフトを利用してマイナンバーを収集し、源泉徴収票を作成するときに担当者がクラウド上に保管されたマイナンバーを参照するという方法も便利です。
扶養控除申告書の紙とクラウドの二重管理を回避する方法については、以下のコラムをご参照ください。
なお、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」という書類を所轄の税務署に提出すれば、扶養控除等申告書および保険料等控除申告書を紙の形で回収することが不要になり、クラウド上の画面だけで年末調整を完了させることが可能になります。
※「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」のダウンロードは [こちら]から(国税庁HP)
この第3の方法に対応している代表的なソフトは、給与計算freee、MFクラウド給与、そしてSmart HRあたりでしょうか。
榊 裕葵
ポライト社会保険労務士法人 社会保険労務士。上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務後、社会保険労務士として独立。勤務時代、常に経営者の側で仕事をしてきた経験も活かしながら、スタートアップ企業の労務管理体制の構築や、助成金申請の支援を積極的に行っている。