厚生年金保険料率の改定があるぞ!9月は給与計算誤りに気をつけろ!


9月に厚生年金保険料が改定されるってご存知でしたか?厚生年金保険料は社会保険料の一種です。
社会保険料(厚生年金保険料および健康保険料)は、「標準報酬月額×保険料率」の式で計算されます。

 

言葉の意味を補足説明しますと、「標準報酬月額」とは、実際に支払われる給与を、国が定めた一定のレンジ毎に丸めたもので、たとえば、月給198,000円が支給されているAさん場合は、標準報酬月額は200,000円になります。

 

そして、厚生年金の場合、保険料率は18.182%なので、上記のAさんについて会社が納付すべき厚生年金保険料の額は、下記のように計算されます。

この保険料額は会社とAさんで折半して負担しますので、給与計算においては、標準報酬月額に、18.182%の半分の9.091%を乗じた額(200,000円×9.091%=18,182円)をAさんの給与から天引きすることになります。


さて、このような社会保険料の計算において、9月から10月にかけてはいくつかの変化点があり、注意が必要な期間となっています。

 

注意点を具体的に、以下列挙していきたいと思います。

 

1.9月分から厚生年金の保険料率がアップする


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冒頭において、厚生年金の保険料率は標準報酬月額の18.182%、この数字は平成28年9月からの数値です。

平成27年9月から平成28年8月までの保険料率は17.828%でした。実は毎年9月に、少しずつ厚生年金保険料の料率がアップしているのです。

日本年金機構:厚生年金保険料額表(平成28年9月分)


給与計算においては、本人の給与から控除する保険料額が変わりますので、新しい保険料率に合わせた保険料を控除しなければなりません。保険料率の更新が漏れて、古い保険料率のまま計算してしまうというミスをしないよう気を付けて下さい。

 

2.9月分から標準報酬月額が変化する人がいる


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6月中旬から下旬にかけて、年金事務所から封筒が届き、その中に「算定基礎届」という用紙が入っていたと思います。その用紙に、4月、5月、6月の給与額等を記入して、会社を管轄する年金事務所に提出したことを覚えていますか。

7月1日〜11日中に申請【算定基礎届】をお忘れなく!
https://bizer.jp/archives/2175

 

この「算定基礎届」に記載された直近の給与額をもとに、年金事務所のほうで新しい標準報酬月額を決定し、会社宛に「標準報酬決定通知書」という通知書が郵送されます。

 

期限までに算定基礎届を提出済みの場合は、既に「標準報酬決定通知書」はお手元に届いていると思います。

 

この「標準報酬決定通知書」には、社会保険に加入している社員それぞれの平成28年9月からの新しい標準報酬月額が書かれており、今後1年間この標準報酬月額が適用されることになります。(ただし、一定以上の昇給等があって随時改定の要件に該当した場合は、年度の途中で標準報酬月額が変更となる場合がある。)

 

そのため、給与計算においても、新しい標準報酬月額に基づいて、社会保険料を計算し直さなければなりません。健康保険は標準報酬月額が変わるだけですが、1.でお伝えした厚生年金のほうは標準報酬月額と保険料率の両方が変わりますのでとくに気を付けて下さい。

日本年金機構:平成28年9月分(10月納付分)の健康保険・厚生年金保険の保険料額表

※都道府県毎に異なる

 

3.源泉所得税も変化する場合がある


 

freee151108158882_TP_V給与計算においては、源泉所得税も天引きをしますが、源泉所得税を計算するときの課税所得は、額面から社会保険料を控除した額を用いますので、社会保険料の控除額が変わると、それに連動して源泉所得税の額も変わる場合があります

 

厚生年金の保険料率が変化することに伴い、9月分から全社員の社会保険料額が変化しますので、源泉所得税ついても「月額表」に当てはめて、全員分の天引き額を再チェックする必要があります

 

4.どのタイミングから新しい保険料率や標準報酬月額を用いるか


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先ほどから、「9月分の保険料から」保険料率や標準報酬月額が変更になると説明をしてきましたが、9月に支給する給与から変更をかければ必ずしも正解とは限らない、ということに注意が必要です。

 

毎月の給与から控除している社会保険料は、「何月に支給される給与から、何月分の保険料を控除しているのか」ということを確認した上で、変更のタイミングを決める必要があるのです。

 

当月控除(9月に支給される給与から天引きされるのは9月分の社会保険料)の場合は、9月支給分の給与計算から新しい保険料率や標準報酬月額を用います。

翌月控除(9月に支給される給与から天引きされるのは8月分の社会保険料)の場合は、10月支給分の給与計算から新しい保険料率や標準報酬月額が変更となりますので、慌てて9月分の給与計算から保険料率や標準報酬月額を変更してしまうミスをしないようにして下さい。

 

最後に


以上4点が主な注意すべきポイントですが、万一間違えてしまった場合は、翌月以降の給与計算で調整すれば大丈夫ですし、年末調整で調整することも可能です。しかしながら、給与計算のミスは、社員の会社に対する不信にもつながりかねませんので、可能な限りミスはしないほうが労務管理の観点からは望ましいです。

 

なお、給与計算ソフトを用いれば、多くの部分はソフトが計算してくれますし、とくに給与計算freeeのようなクラウド型のソフトであれば保険料率の変更なども自動で対応してくれますので、給与計算に自信がない場合は、力ずくでエクセルなどで計算しようとせず、この機会に給与計算ソフトの導入を検討してみてください。あるいは、専門家にアウトソーシングしてしまうのが良いのではないかと思います。

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