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夏休みはピークオフで社員旅行に!経費にするために気をつけるポイント

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お盆の時期はどこも混雑しているし高いし、うちの会社はオフピークで9月に夏休みにしようと思う。せっかくだから会社の経費で社員旅行なんてできるのかな?

相談者
もうすぐお盆ですけど、人が働いていないときこそ稼ぎ時って思って、従業員にも9月以降に自分の好きなタイミングで夏休みを取ってもらうことにしまして。

村田税理士
確かにお盆の時期はどこに行っても混んでいるし、オフピークで夏休みを取りたいっていう従業員も多いんじゃないんですか?

社員旅行は福利厚生になる?

相談者
従業員も自分の好きな時に休みが取れたほうが嬉しいみたいですね。それで、みんなが自由に休みを取るのはそれでいいんですけど、なんかこう、会社としての一体感を出すものも必要かなって思いまして、社員旅行ってどうなんですか?

村田税理士
最近、社員旅行とか企業の運動会とか、取り入れている会社も多いですね。

相談者
はい。弊社も従業員にチャットで意見を聞いてみたら会社の経費で旅行に行くならアリかなって言われて。

お盆の仕事でそこそこ利益が出そうなので、せっかくだったら社員旅行に使っちゃおうって思ってます。

ただ、利益の還元なので営業で成績の良かった人にだけ旅費を出してあげるのがフェアかなと思ってまして

村田税理士
それは会社としての一体感を出すためのものではなく、営業成績に対して支払うボーナスなので所得税が課税されてしまいますね。

相談者
ん?一部の人に支払うと、福利厚生にできないってことですか?

福利厚生費は全員平等に

相談者
うーん。福利厚生費とボーナスという話、違いがイマイチ分からなかったのですが、、

村田税理士
ざっくり言うと、

ボーナス・給与は個人の成果・業績に対して支払うもの。

福利厚生費は従業員が働きやすい環境を作るためのものとなります。

・営業成績に応じて ⇒ 個人の成果・業績に対するものなので「賞与」

・40歳以上の従業員はメタボ検診受診可⇒ 個人の成果・業績による不平等はないので「福利厚生費」

・部長以上は会社主催のゴルフコンペに無料参加 ⇒ 役職に応じた取扱いであり「賞与」

相談者
年齢など、個人の成果とは関係のない条件をつけるのはOKなんですね

あと、知り合いで社長1人の会社がうちは福利厚生費はできないんだって言っていたのですが

村田税理士
福利厚生費は、従業員の労働環境の改善等のために全ての従業員に平等に社会通念上妥当な金額の範囲内で支出するものとなります。

そのため、[社長1人の会社] だけでなく [役員だけの会社] も、福利厚生費の支出はできません。

(所得税法基本通達36-29 課税しない経済的利益……用役の提供等

36-29 使用者が役員若しくは使用人に対し自己の営む事業に属する用役を無償若しくは通常の対価の額に満たない対価で提供し、又は役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け又は当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。

社員旅行を福利厚生費にする3つの条件

村田税理士
社員旅行の場合は、福利厚生費とするための3つのポイントがあります。

条件①適度な金額

明確な金額基準はありませんが、「社会通念上妥当な金額の範囲内」であればOK。激安ツアーでなくてもよいですが、ファーストクラスやグリーン車、一流ホテルの宿泊などは避けたほうがよいでしょう。

※不参加者への現金支給は参加者・不参加者ともに課税支給となる(所得税が課税される)ので注意してください。

条件②参加人数は50%以上

参加従業員数が全従業員数の50%以上であること。工場や支店単位で社員旅行を行う場合は職場ごとの人数で判定します。

※従業員の家族参加はOKです。ただし、従業員一人あたりの社員旅行費が高額にならないように注意しましょう。

※外部の顧問など、社外の人を社員旅行に招待する場合は従業員の親睦にはならないので「交際費」となります。

条件③宿泊日数4泊5日以内

宿泊日数は4泊5日以内である必要があります。(海外旅行の場合は現地での滞在日数)

村田税理士
この3つの条件についてまとめてあるのが下記の国税庁タックスアンサーです。3つのケースについて福利厚生費にあたるかを判定しています。

国税庁タックスアンサーNo.2603
従業員レクリエーション旅行や研修旅行

村田税理士
国税庁の事例を少しアレンジしてみたので、こちらもご覧ください。

相談者
なるほど、B社では会社が負担する1人あたりの社員旅行費が15万円でも税務上はOKと。何となくの金額イメージがつきました。

村田税理士
タックスアンサーにも注意書きがあるように、「原則として」所得税等は非課税=福利厚生費となります。

ただし、例示された金額条件を満たしていればどんな場合でも福利厚生費でOKというわけではなく、「社会通念上妥当な」旅行である必要があります

村田税理士
余談ですが、社員旅行の趣旨は従業員間の親睦を深めるためのものですので、従業員が社長の親族だけという会社では旅行による親睦は不適切だろうということで福利厚生費にはあたらないとされた事例もあります。

相談者
従業員の親睦を深めていくことで働きやすい職場にするのが社員旅行の趣旨ということですね。せっかくの社員旅行なので個人行動にならないように、みんなで楽しめるようなイベントも考えてみます。

村田 光平

公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。