専門家が語る

まだマイナンバーで副業がバレると思ってるの?

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マイナンバー制度が始まると、勤務先に副業がバレるということがまことしやかにささやかれている。

最初に、本稿の結論から申しあげると、「マイナンバー制度が始まるので副業がバレるというのは都市伝説である」ということである。

その理由を説明したい。

ある経済誌では、次のような論旨で、マイナンバーによって副業が本業の会社にバレるまでの流れを説明していた。

①副業でホステスしているOLがいたが、確定申告をしていなかった。

②税務署のマンパワー等の問題で、これまでは確定申告漏れが事実上見逃されていた。

③今後は、マイナンバーで名寄せが簡単になるので、副業の確定申告漏れが発覚しやすくなるから、今年度からは必ず確定申告をすべきである。

④確定申告したら、副業分の住民税も納めなければならないが、役所から本業の会社へ、副業分も含んだ住民税の天引き額が通知されるので、その結果、本業の会社にバレる。


何となく説得力のある説明に見えるが、実は③と④の間に論理の飛躍がある。

確かに、マイナンバー制度によって、副業の確定申告漏れが発見される可能性は高まるのは間違いないので、きちんと確定申告をすべきという意見には賛成である。

だが、税務署へ確定申告をする際に、副業分の住民税に関しては、自分で納める形(「普通徴収」という)と、本業分と合わせ勤務先経由で給与天引きにより納める形(「特別徴収」という)を本人が任意に選択することができる。

これは、マイナンバー制度の開始前後で変化はない。

 

上記経済誌では、副業分の住民税が特別徴収になることがあたかも当然のように書かれているという点で、論理の飛躍があるというわけだ。

このような論理の飛躍で大衆の不安を煽るのは、いかがなものであろうか。

 

結局のところ、マイナンバー制度の有無に関わらず、本人が勉強不足で、確定申告の際によくわからないまま副業分の住民税を「特別徴収」で納めるという形で申告書を書いてしまうから、本業の勤務先にバレてしまうということである。

副業分の住民税については、「普通徴収」で納めるという欄に“丸”を付ければ、それで“丸”く収まるわけだ。

 

論理の飛躍した情報に流されて、マイナンバー制度が始まったから副業がバレるのではないかと、不用意に恐れる必要はない。正しい確定申告の知識を身に付ければ、何ら問題はないのである。

それよりも、副業にのめりこみすぎてしまい遅刻をするとか、勤務時間中につい副業のことをしてしまったのが見つかるとか、そういったアナログなことがきっかけで本業の会社にバレないよう、むしろ気を付けたほうが良いであろう。

榊 裕葵(さかき ゆうき)

ポライト社会保険労務士法人 社会保険労務士。上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務後、社会保険労務士として独立。勤務時代、常に経営者の側で仕事をしてきた経験も活かしながら、スタートアップ企業の労務管理体制の構築や、助成金申請の支援を積極的に行っている。