メニュー

有期契約労働者の「無期転換ルール」を知ろう!

契約社員等の有期労働契約者を無期労働契約へ転換しなければならない、いわゆる「無期転換ルール」が、2018年4月1日から適用されます。
今回は、「2018年問題」と呼ばれ話題になっている、有期契約労働者の無期転換ルールについて解説をします。

有期契約労働者の無期転換ルールとは?

無期転換ルールとは、同一の使用者との間で5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。
例えば、契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に、契約期間が3年の場合、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。

以下に、この契約期間に関する各種の疑問について、ひとつひとつ見ていきましょう。

Q1. 契約期間はいつから通算される?

通算契約期間は、平成25(2013)年4月1日以降に開始した有期労働契約から算定(カウント)します。
例えば、平成24(2012)年6月1日から1年間の有期労働契約を締結し、更新を繰り返している方は、平成24(2012)年6月1日~平成25(2013)年5月31日の契約期間はカウントされず、平成25(2013)年6月1日に開始した有期労働契約からカウントされます。

Q2. 通算5年を超えたら、自動的に無期労働契約に転換される?

法律上は、契約期間が通算5年を超えた労働者が「申込み」をした場合に、無期労働契約が成立します。(無期労働契約の開始時点は、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日からです。)
そのため、無期労働契約への転換にあたっては、労働者が「申込み」を行うことが必要です。
なお、会社によっては自動的に無期転換される制度を設けている場合もあります。

Q3. すでに5年を超えたら、いつでも無期転換申込権を行使することはできる?

平成25(2013)年4月1日以降に開始した有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、その契約期間の初日から末日までの間、労働者はいつでも無期転換の申込みをすることができます。
また、無期転換の申込みをせずに有期労働契約を更新した場合、新たな有期労働契約の初日から末日までの間、労働者はいつでも無期転換の申込みをすることができます。

Q4. 部署異動により職務内容が変わっても契約期間は通算される?

無期転換申込権は、「同一の使用者との間」で契約を更新し、通算して5年を超えて勤務した場合に発生します。
つまり、継続して同じ会社に勤務していれば、その間に職種や職務内容が変更されたり、A支店からB支店に異動した場合であっても、契約期間は通算されます。

なお、「同一の使用者」とは、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断されます。

無期転換の前に「雇止め」することについて

有期契約労働者の無期転換ルールのひとつの論点として、事業者の観点から、通算契約期間5年を上限とした「雇止め」が有効かどうかも気になるところかと思います。
雇止めに関する疑問についても、以下に解説します。

Q5. 5年の更新上限を設け、雇止めすることは問題ない?

有期労働契約において更新年限や更新回数の上限などを設けることが、直ちに法律違反となるものではありません。
使用者と労働者との間で合意がなされた場合には、労働契約として成立することとなります。
雇止めの有効性については、雇止め法理(労働契約法第19条)に基づき最終的には司法判断されることとなります。

ただし、有期契約の満了前に使用者側が更新年限や更新回数の上限などを一方的に定めたとしても、雇止めをすることは許されない場合もあります。

Q6. 雇止めはどのような場合に無効となるの?

有期労働契約が次の①、②のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、その雇止めは無効とされます。
なお、雇止めが無効とされた場合、従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。

①過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
②労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

例えば、以下のようなケースは、雇止めをすることが客観的に合理的な理由を欠くものとされる可能性もあると考えられます。

  • 無期転換ルールの適用を避ける目的で、無期転換申込権が発生する有期労働契約の満了前に、一方的に、使用者が更新年限や更新回数の上限などを就業規則上設け、当該ルールに基づき、無期転換申込権が発生する前に雇止めをする場合
  • 無期転換ルールの適用を避ける目的で、6ヶ月後、再度有期労働契約を締結するとの前提で、一旦雇止めをする場合

なお、上記の①②に該当するか否かは、当該雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待を持たせる使用者の言動の有無などを総合考慮して個別事案ごとに判断されます。

リンク・アクト社会保険労務士事務所

「IT×社労士」をコンセプトとした新宿西口駅前の社会保険労務士事務所です。 スタートアップ企業から数百名規模まで、人数を問わずIT企業の労務顧問を数多く経験しています。 事務所ウェブサイトは代表社労士が自ら作成しています。 是非一度ご覧ください。 https://linkact.jp/