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組織(チーム)で効率的に働くためのIT活用!

働き方改革」という言葉をよく聞くようになった昨今。
せっかくの働き方改革なのに、ただ単に残業の削減だけを目標としていたり、早く帰ることを強制させられるだけで業務量は全く変わらず…といった状態に陥ってはいないでしょうか?
働き方改革の成功には、業務の効率化、運用フローの徹底、タスクの可視化など、業務そのものの仕組みを見直すことが不可欠です。
そこで今回は、社会保険労務士の方に「効率的な組織とはなにか?」という観点でお話いただきました。

社会保険労務士が見た現場、「効率的な組織」は何が違うか?

社会保険労務士という仕事をしていると様々なクライアントの働く現場をみる機会があります。
業種や規模が同じような企業でも、その働き方や組織文化は大きく異なります。
そして、効率的な働き方をしている企業と、そうでない企業、どちらもあります。
両社の違いは何なのでしょうか?

具体的なポイントを4つにまとめてご紹介します。

①スケジュールではなく「タスク」が共有されている

スケジュールを共有している企業は少なくありませんが、その日のタスクを共有している企業は決して多くありません。
打ち合わせの多い社員のスケジュールは埋まっているが、デスクワークの多い社員のスケジュールは殆ど空欄になっているということが良くあります。
しかし、スケジュールが空欄になっている社員は何もしていないということは決してありません。
いつまでに何をする予定なのか、今日は何をする(した)のか、出来る限り細かな仕事の単位を「タスク」として書き出して共有することは組織の生産性の向上につながります。

例えば、毎月第3営業日までに顧客へ請求書を郵送する経理担当者が居たとします。請求書を郵送するまでに様々なタスクがあるでしょう。
具体的には、請求書データに入力漏れを確認(漏れがあれば担当者へ差し戻し)、各部門責任者の承認を確認(承認漏れがあれば電話やメールで部門責任者へ連絡)、郵便切手の在庫に不足はないか(不足があれば発注の社内決済を行う)、顧客の住所が記載されたシールを印刷する(新規顧客であれば新しく用意する)等といったタスクが思いつきます。
これらのタスクは出来る限り多くの方に公開できる範囲で共有すべきです。

業務の効率化に限らず、情報が多ければ多い程、より良い解決策が見つかります。
情報を共有することがより良い問題解決、業務改善につながります。

②「マニュアル」が動画とテキストの両方で作られておりメンテナンスも徹底している

マニュアルを作成したけれども、マニュアルを見てもらえないということはないでしょうか?
その場合、動画とテキスト、両方のマニュアルを作成することをお勧めします。
例えば、システムの操作方法や、フォームの入力方法は、動画マニュアルとテキストマニュアルの両方とも作成した方が良い場合があるでしょう。
動画マニュアルは、初めて操作を行う方や、久しぶりに操作を行う方に参照してもらいます。
先輩社員等が実際にシステムを操作している様子を動画のスクリーンショットで見ることができれば初めての方でも安心して操作を進めることができます。
テキストマニュアルは、動画のマニュアルを参照した方や一度操作を行ったことがある方が、不明点を部分的に確認するために活用します。
重要な箇所や、間違いが多い箇所をテキストマニュアルで重点的に説明をすると良いでしょう。

また、マニュアルが活用されない理由で最も多いのは、メンテナンスがされていないマニュアルが一つでも存在する場合です。
例えば、先輩社員が「このマニュアルは古いから今とは少し違うけど参考にはなるからみておいて」と後輩社員に指導したとします。
後輩社員は、そのマニュアルのどこが古いのか、どこを信用して良いかが分かりません。
更に、他のマニュアルの中にも信用してはいけない古いマニュアルがあるかもしれないと考えてしまいます。
そして、マニュアルに書いてある内容を確認するために、マニュアルに記載されたことと同じ内容を先輩社員に質問してしまうでしょう。

質問を受けた先輩社員からすれば、「マニュアルを参考にして自分で判断して欲しい」「完璧なマニュアルなんてあるわけがない」「仕事の意味を理解していれば判断できるだろう」という気持ちになるかもしれません。
しかし、教える人によって「やること」が異なることで生じる組織としての非効率性を解消し、「やること」の情報共有を効率化することにマニュアルの存在意義があります。

また、メンテナンスが必要ということはマニュアルを作る前にしっかりと認識し、「やること」を見直す必要があれば、常にマニュアルは見直すべきです。
そして、マニュアルを作る前提として、「やること」と「やり方」は分けて考え、「やること」を中心にマニュアルを作成すると良いででしょう。
なお、「やり方」を「ナレッジ」などと呼ぶことがありますが、ナレッジを落とし込んだ詳細なマニュアルを作成するのであれば、「やること」の説明に留めたマニュアルを随時更新したほうが効果的であることがあります。

③「ナレッジ」を情報収集し共有している

ナレッジの共有は、「社員の成長」と「組織の効率化」の2つの観点で非常に重要です。
「社員の成長」という観点では、他の社員がどのような「やり方」で仕事を行ったか「疑似体験」することにより、社員一人一人の経験値を増やす目的があります。
「組織の効率化」という観点では、優秀な社員がどのような「やり方」で仕事を行ったかを会社として情報収集することにより、組織全体の「やり方」として採用する目的があります。

例えば、会社の中に誰もが認めるエース社員が居て、その社員にしかできない仕事があったとします。
しかしこのような場合、必ずしもその社員にしか身に付けられない特殊スキルがあるとは限らず、多くの場合、「その人しか持たない情報がある」ことによって結果的にその人にしかできない仕事になっている可能性があります。

そういったケースの場合は、その社員が持っている情報が他の社員に共有されることによって、組織全体としての生産性があがることがあります。
そこで、このエース社員に組織の中で最大限に活躍してもらう方法がナレッジの共有です。
優れたナレッジを持つ社員に対しては、会社側が積極的にそのナレッジを情報収集すべきです。
しかし、社員に対してナレッジを「共有しなさい」「報告しなさい」というスタンスでは、個人のナレッジが会社の財産として蓄積されることは難しいでしょう。
ナレッジを共有する社員にとって共有することが負担やデメリットにならない環境を作ることが重要です。
具体的には、ナレッジの共有にインセンティブを与えたり、社員のナレッジが自然と蓄積されるシステムを導入する方法が考えられます。

④対応漏れや期限遅れがあった時の対応が決まっている

組織で仕事を進めていると予定通りに進まないことが多くあります。
前述の、毎月第3営業日までに顧客へ請求書を郵送する経理担当者の例であれば、各部門責任者の承認漏れがあれば、経理担当者は各部門責任者へ承認のリマインドをする必要があります。

このように組織内の誰かの対応漏れがあった場合に、いつまでに誰がリマインドをするかを決めておくことは非常に有効です。
更に、リマインドをしても部門責任者が承認しない場合は、当事者以外の誰にリマインドをするのか、誰に代理権限を付与するのか、細かなフローを決めておくと良いです。
予定通りに進まなかった場合に、いつ誰がどのような行動をとるか、各個人にその都度判断や相談をさせることは非常に効率が悪いです。

このような代理フローを決めることは、請求書の発行など、定期的に繰り返し行われる業務において特に有効です。
また、担当者のリマインドの工数を削減するため、期限前にリマインドのアラートが自動配信できるシステムは導入した方がよいでしょう。
更に、期限後の承認フローや代理承認などの機能を備えたワークフローのシステムがあればより一層の効率化が期待できます。

【まとめ】業務効率化のための積極的なIT活用を

お話させていただきました業務の効率化や運用上の工夫は、アナログな手法やエクセルなどの管理では難しい部分もあり、無理に導入しようとする却って手間がかかる場合があります。
せっかくの前向きな改善も、これだと社内に定着しません。

最近では業務を効率的に進めるためのITツールが次々と提供されています。
WEBサービスの場合はむ無料お試し期間があるものも多いので、色々と試した上で自社と相性の良いツールを見つけてください。

リンク・アクト社会保険労務士事務所

「IT×社労士」をコンセプトとした新宿西口駅前の社会保険労務士事務所です。 スタートアップ企業から数百名規模まで、人数を問わずIT企業の労務顧問を数多く経験しています。 事務所ウェブサイトは代表社労士が自ら作成しています。 是非一度ご覧ください。 https://linkact.jp/