専門家が語る

一人法人の方必見!自宅が事業所だったら家賃が経費にできる!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

会社を設立して起業したいけど、軌道に乗るかどうか不安だし、はじめは色々節約したい…
当分は自分一人でやっていくので、できれば自宅をそのままオフィスにしたいなあ。
でも、自宅をオフィスとする場合って、家賃は経費にできるんだっけ?

起業を考えている方は、このようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、法人の役員の自宅を事業所とする場合にどのような方法があるか、また、法人の経費として計上するためにどのような計算をする必要があるかという点についてまとめました。

個人事業主の家事按分との違い

法人成りなどで、引き続き自宅を事務所として利用する場合、個人事業主時代の家事按分の概念と混同される方が見受けられます。
しかしながら、個人事業主と法人ではその扱いが異なりますので注意が必要です。

<個人事業主の場合>
個人事業主の場合には、事業にかかった経費を合理的な基準によって分けることを「家事按分」といいます。
家事按分するためには按分比率が必要になります。
基準については合理的かつ客観的に判断したときに明確な根拠が提示できれば問題はありませんが、算定の基礎をきちっと整理する必要があり、また税務調査等で指摘されやすい点でもあります。

<法人の場合>
一方で法人の役員の自宅を事業所にする場合には、事業にかかった経費という概念ではなく、法人と役員の契約によります。
その場合には後述する方法及び金額の算定方法により、経費として計上いただくこととなります。


 

法人の役員の場合に家賃を経費にする方法とは?

それでは改めて、法人の役員の自宅を事業所とする場合の方法について話をすすめていきましょう。
一言で「自宅を事業所にする」といっても、そこには様々なパターンが考えられます。
大きく分けて「A 役員が家賃相当額を支払う場合」と「B 法人が家賃相当額を支払う場合」に分けられますが、それらの状況に応じて対応すべき方法や計上方法も変わってきます。
パターンごとに一つ一つ見ていきましょう。

A 役員が家賃相当額を支払う場合

まずは役員が家賃相当額を支払う場合、つまり社宅として役員へ自宅を貸すことで法人の経費とする方法です。

①自宅が役員個人の賃貸の場合

役員の自宅が賃貸の場合には、賃貸借契約を役員の個人契約から法人契約に結びなおす方法があります。
会社が賃貸人に家賃を支払う一方で、役員から社宅家賃として、賃貸料相当額(詳細は後述します)を給料から差し引きます。家賃の賃貸料相当額が役員個人の負担となり、残額は法人が負担することとなります。

②自宅が法人所有の場合

役員の自宅が法人所有である場合、賃貸借契約を役員と法人とで結ぶ方法があります。
その場合、賃貸料相当額(詳細は後述します)を法人に支払うと、自宅の諸費用(減価償却費、修繕費、固定資産税、火災保険、住宅ローンの支払利息など)を法人の経費にすることができます。
ただし、役員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額と受け取っている家賃との差額が給与として課税されます。
つまり世間相場に比べて著しく条件(立地条件、広さ、間取り、内外装の状況等)がいい物件に関しては、経済的利益を役員が法人から受取ったと判断されます。


【賃貸料相当額について】

1.役員に貸与する社宅が小規模な住宅である場合
次の(1)から(3)の合計額が賃貸料相当額になります。

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

2.役員に貸与する社宅が小規模な住宅でない場合

役員に貸与する社宅が小規模住宅に該当しない場合には、その社宅が自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。(豪華社宅である場合は、時価(実勢価額)が賃貸料相当額となります。)

(1) 自社所有の社宅の場合
次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。

イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
ただし、建物の耐用年数が30年を超える場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%


(2) 他から借り受けた住宅等を貸与する場合
会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

なお、小規模な住宅の定義など、詳細につきましては以下の国税庁のサイトをご参照ください。
<No.2600 役員に社宅などを貸したとき>
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2600.htm

B 法人が家賃相当額を支払う場合

役員の持ち家などの場合は、役員に対し法人が家賃相当額を支払うことで法人の経費として計上します。
対応すべき内容や注意点は以下の通りです。

③自宅が役員個人の持家の場合

役員の自宅が持家である場合、賃貸借契約を役員と法人とで結ぶ方法があります。
ただしその場合、自宅の一部を事務所専用として使用しており、明確に区分可能であることが前提となります。
会社が役員に家賃を支払うことになりますので、賃貸料相当額を適切に計算することが必要です。
家賃の賃貸料相当額について法人が負担することとなります。
一方、家賃を受け取る役員個人は、家賃収入(不動産所得)を確定申告することが必要になります。


【賃貸料相当額について】

過度に高額な場合には、税務上否認される可能性もありますので、家賃設定には通常の近隣の類似不動産等の家賃相場を勘案して使用面積に応じた金額を決定していただく必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
法人が役員の自宅を事業所とする場合、考えられるパターンがいくつもあることがお分かりいただけたかと思います。
家賃相当額の計算は複雑な面もあるので、心配な場合は税理士などの専門家に相談しながら決めることをおすすめします。

わからないことは頼れる専門家(士業)に何度でも相談しよう

Bizer(バイザー)では、バックオフィス業務(総務・労務・経理・法務・知財など)について厳選されたBizer認定士業に何度でもご相談いただけます。
Bizerコンシェルジュがあなたのご相談をお伺いし、適切な専門家(税理士社労士司法書士行政書士弁理士)にお繋ぎいたします。

詳しくは、[クラウド顧問サービス|Bizer(バイザー)]まで

kousuke matsuda

松田晃輔

公認会計士・税理士。監査法人勤務を経て、2017年より松田晃輔公認会計士税理士事務所を京都にて開業。監査法人では、数多くの上場企業や中小企業の法定監査やコンサルティング業務に従事。 現在は会計・監査の経験を活かし、クラウド会計を駆使した業務効率化(記帳を含む)を目指し、主に創業支援を中心とした業務に従事。