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役員報酬の決め方にはルールがある!?起業前に知っておきたい役員報酬で損をしないポイント

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法務局への会社設立書類の提出が完了し、とうとう念願の自分の会社が誕生しました!
苦労が多いでしょうけれど、当面は1人でやっていく予定です。

これから社長である私の役員報酬(給料)を決めようと思いますが、

「会社の役員報酬は毎月同額で支給しなければならない?」
「売上が上がったからって、毎月の役員報酬の支給額を変更できない?」

などの話を聞いたことがあるのですが、実際どうなのでしょうか?
起業家のみなさん、社長や取締役などの役員報酬(給料)の決め方には、ルールがあるってご存知でしょうか?

役員報酬の決め方の手順・手順
本コラムでは、「1.役員報酬のルールを確認する」の部分について詳しく説明いたします。

役員報酬の決め方や支給方法によっては、経費(損金)として計上できるなどの税金にも影響するため、しっかりと学んでいきましょう。

 

 

役員報酬の決め方とは!?

相談者
先日、無事会社の設立登記書類を法務局に提出してきました。
会社役員になったら社会保険に加入する義務が発生するので(役員報酬が0円の場合は除く)、社会保険に加入するために年金事務所へ提出するための書類を作成しようと思います。
相談者
さっそく、その提出するための書類を見たら「役員報酬の金額」を記入する箇所があったのですが、まだ自分の役員報酬を決めていなくて・・・どうしたらいいかなと悩んでいます。

 

村田税理士
月額の役員報酬(標準報酬月額)によって社会保険(健康保険・厚生年金)の保険料が変わってきますからね。

 

【参考コラム】
社会保険料からみた役員報酬の注意点については、以下のコラムをご参照ください。
起業家必見!役員報酬に関する3つのポイント

 

相談者
そうなんですね。役員報酬はどうやって決めたらいいのでしょう?必要な手続きなどはありますか?

 

役員報酬の決め方の手順・手続き

会社設立後にはじめて役員報酬を決めるときは、次の手順・手続きで役員報酬を決定します。

  1. 役員報酬のルールを確認する
    経費(損金)として認められる範囲で役員報酬を決定します。
    詳しくは、後述「役員報酬の決め方のルールとは?」をご参照ください。
     
  2. 株主総会(社員総会)で決議を行う
    株主総会(合同会社の場合は社員総会)を開催して、役員報酬の金額を決議し、会社の出資者の承認を得ます。
     
  3. 年金事務所に社会保険加入の書類を作成・提出する
    役員報酬が決まったら、社会保険加入の手続きが必要です。
     
  4. 役員が居住している市区町村へ住民税の届出をする
    役員個人の住民税を会社が源泉徴収し納付する特別徴収手続きが必要です。
村田税理士
本コラムでは「1.役員報酬報酬のルールを確認する」を詳しく説明していきます。

 

役員報酬の決め方のルールとは?

役員報酬で押さえておくべきポイントは2つです。

  1. 毎月同額(定期同額)であること
  2. 役員報酬の変更は、会社設立時(翌期以降は事業年度開始)から3ヶ月以内のみ可能

毎月の役員報酬の金額が自由に変更できると、決算前に会社の利益を調整できてしまうため、上記の役員報酬のルールが定められています。

 

相談者
役員報酬のルールって、これだけですか?ずいぶんシンプルですね。

 

村田税理士
シンプルなだけに利益調整する余地がありません。また、会社設立1年目は、どれくらい利益が出るのか予想できない中で、毎月同額の役員報酬を決めなければならないということもあって、はじめて役員報酬を決めるときは難しいですね

 

相談者
確かに会社設立したばかりだと、3ヶ月なんてあっという間ですからね。事業を立ち上げるのに精いっぱいで、いざ自分の役員報酬を決めようと思ったら「既に3ヶ月経過してしまっていた」なんて事もありそうですね。このタイミングで知ることができて良かったです。

 

役員に賞与を支給できるのか?

村田税理士
ちなみに、「役員に賞与を支給できるのでしょうか?」と相談を受けるケースがあります。役員賞与を支給することはできますが、会社設立時は2ヶ月以内(翌期以降は事業年度開始から4ヶ月以内)に税務署に届出をするなどの厳格な手続きが必要となります。

 

【参考コラム】
役員賞与を支給するための必要な手続きについては以下のコラムをご参照ください。
役員にもボーナスが支給できるってホント!?必要な手続きとポイントを税理士さんに聞いてみた!

 

相談者
役員賞与を支給する以前に、私のようなスタートアップの経営者の場合は、まず「役員報酬の定期同額」のルールをしっかり覚えておく必要がありますね。

 

3ヶ月ルールを守らなかったときのペナルティとは?

相談者
あと、役員報酬の変更は、会社設立時(翌期以降は事業年度開始)から3ヶ月以内ということだったのですが、3ヶ月を過ぎてしまったら役員報酬の支給金額を変更してはいけないのでしょうか?

 

どうしても生活費が必要になって、後から役員報酬を増やしたいとかあると思うんですけど。。。

 

村田税理士
いいえ、会社設立時(翌期以降は事業年度開始)から3ヶ月を超えてからも、役員報酬の支給額は変更できます。ただし、その場合には、法人税の計算上でペナルティが発生します。

 

相談者
ペナルティ?法人税を多く払うことになるのでしょうか?

 

村田税理士
はい、支払った役員報酬のうち、毎月同額(定期同額)でない部分が法人税の計算上で経費(損金)として認められなくなってしまいます。

 

1.事業年度開始から3ヶ月経過後に支給額を増額した場合

事業年度開始から3ヶ月経過後に株主総会(社員総会)で「役員報酬の増額改定の決議」が行われた場合、増額した部分が法人税の計算上で経費(損金)として認定されません

 

相談者
なるほど、例えば、月額30万円から月額50万円に増額した場合は、支給金額の少ない方の月額30万円がベースとなり、毎月30万円は「定期同額」で損金にできるが、30万円を超えた部分が損金にならないということですね。

 

2.事業年度開始から3ヶ月経過後に支給額を減額した場合

逆に、役員報酬の支給額を減額した場合は、減額後の役員報酬がベースになり従来の役員報酬で超過している部分経費損金)に認められません

 

※事業年度開始から3ヶ月経過後に株主総会(社員総会)で「役員報酬の減額改定の決議」が行われた場合、減額後の金額を基準に従来の支給額が超過している部分が法人税の計算上の経費(損金)として認定されなくなってしまう。

 

相談者
役員報酬を減額する場合でもペナルティがあるのですね。知り合いの会社は、役員2人でやっていて、そのうちの1人が病気で長期入院してしまい業務できなくなってしまったそうです。そんなときでも、この「役員報酬のルール」だと、毎月同額で役員報酬を支払い続ける必要があるということでしょうか?厳しいルールですね。

 

村田税理士
そのようなやむを得ないケースの場合には、3ヶ月ルールの例外が認められペナルティはありません

 

3ヶ月ルールの例外が認められるケース

まず、3ヶ月を超えてからの役員報酬の増額が認められるケースです。

 

昇格したとき

職責の変更昇格による増額は認められます。

 

※職責の変更(昇格)による増額は3ヶ月経過後でもOK

相談者
ヒラ取締役が代表取締役に昇格するようなケースですね。

 

村田税理士
昇格によって業務への権限と責任が増すことによる実態を鑑みて、増額OKという扱いです。ただし、形式的に役員の肩書を変更しても増額は認められないのでご注意ください。

 

やむを得ないケースで減額したとき

前述した病欠のようなやむを得ない役員報酬の減額は認められます。

 

※「やむを得ない」ケースであるかは、税理士などの専門家や最寄りの税務署などに事前に確認しましょう。

 

相談者
たまに、上場会社でも取締役の懲戒処分などで、何ヶ月か役員報酬がカットされることがありますね。

 

村田税理士
あと、前述の昇格したときとは逆に、後継者に代表取締役の地位を譲って、自分は相談役などになり一線を退く場合には、職責の変更による減額が認められます。

 

相談者
いずれにせよ、3ヶ月経過後の役員報酬の改定は例外的なもので、安易に自己判断せずに専門家や税理士の見解を確認したほうがよさそうですね。

 

役員報酬を決めた後は各役所への手続きも忘れずに

役員報酬のルールを理解して、株主総会(社員総会)で役員報酬の決議を行うと役員報酬の金額が決まるのですが、これで終わりではありません。手続きは引き続きありますのでご注意ください。

年金事務所や市区町村に届出するなどの手続きがあります。前述「役員報酬の決め方の手順・手続き」を参考に各役所への手続きなども忘れないようにしましょう。

Bizerをご利用の場合

役員報酬の手続きに関しては、「ToDoリスト」機能の以下の業務テンプレートで確認することができます。

  • 会社設立後にはじめて役員報酬を決める
  • 役員にはじめて役員報酬を支払う
  • 役員報酬を改定する
  • 役員賞与を支給する

など

<例:会社設立後にはじめて役員報酬を決める>

 

困ったことは専門家(士業)に何度でも相談しよう

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村田 光平 むらた こうへい

村田 光平

公認会計士、税理士 、行政書士 、公益社団法人日本監査役協会会員。2005年に中央青山監査法人、2007年に京都監査法人東京事務所を経て、2013年より税理士事務所を開業。年間50社の会社設立手続を行い、法務・税務の両面からサポートを行うスタートアップ企業のエキスパート。