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会社役員が副業しても大丈夫!?未然に防ぎたい法的リスクとは?

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知らないと怖い会社法(競業避止義務と利益相反取引)

取締役が副業するためには、副業が会社法の「競業避止義務」「利益相反取引」に該当しないか注意する必要があります。

取締役になると、その会社の運営で様々な権限を持つことができます。本来であれば、これらの権限は会社や株主のために業務を円滑に行えるよう存在しているのですが、その権限を濫用して自分の利益のために会社経営できてしまうリスクもあります。

そこで、会社法では取締役が会社のために業務を忠実に行う義務があることを定め(会社法355条 取締役の忠実義務)、中でも「競業避止義務」と「利益相反取引」という2つの取引については、取締役に厳しい制限を定めています

取締役が副業をする場合、「競業避止義務利益相反取引の制限に副業が該当していないかを確認して、これらに該当する場合は必要に応じて株主総会または取締役会において承認手続きなどを行う必要があります(競業避止義務、利益相反取引。会社法第356条第1項)。

会社法に違反しないためにも、しっかりと学んでいきましょう。

従業員の場合は?

なお、取締役ではなく従業員の場合は、会社法には規定がないものの、労働契約の付随義務又は信義則上の義務並びに就業規則や個別に締結する競業避止特約義務違反等を根拠として、競業避止義務を負うものと解釈されています。

副業を行う場合は、就業規則などでこれらが定められていないか確認しましょう。

 

競業避止義務とは?

競業避止義務とは、会社の事業に関するノウハウなどを利用して、会社の利益を害する虞れ(おそれ)があるものについて、それを制限するために定められたものです。

例えば、インターネット環境の設計、保守、管理を行う株式会社Aの取締役Bが、その会社のノウハウや営業秘密、顧客情報などを利用して、他の会社を設立し、その事業を営む場合などがあります。

<例>

×:株式会社Aと同じサービスを安い価格で株式会社Aの顧客に提供

×:独自のWEBサービスを開発したが、株式会社Aの顧客リストを利用して販売

〇:独自のWEBサービスをインターネット広告で集客して販売

 

利益相反取引とは?

利益相反取引は、競業避止義務同様、会社と取締役個人が直接的または間接的に取引を行うことにより、会社の利益を犠牲にして、取締役自身または第三者の利益を図ることを防止するために定められています。

利益相反取引には、以下の2種類の取引が規定されています。

1)直接取引(取締役と会社の取引)

2)間接取引(取締役以外の第三者と会社の間で行われる取引)

 

1)直接取引(取締役と会社の取引)
  • 取締役と会社間で行われる売買契約の締結
  • 会社から取締役への金品、会社の資産などの贈与
  • 取締役から会社への金銭貸付で利息が発生する取引
  • 取締役が会社に債務を負っている場合の債務免除
  • 取締役が受取人となる場合の会社からの約束手形の振出

例えば、以下のような取引です。

例1:
株式会社Aの資金が足りなくなったため、株式会社Aの代表取締役であるBが一時的に個人のお金を会社に貸し付け、利息を受け取る。

(出典:Freepik

例2:
株式会社Aの会社財産を取締役Bが譲り受ける。

(出典:Freepik

例3:
代表取締役Cが株式会社Aと株式会社Bの代表取締役を兼任している場合において、株式会社Aが100万円を株式会社Bに貸し付ける。

(出典:Freepik

など

 

2)間接取引(取締役以外の第三者と会社の間で行われる取引)
  • 取締役が負っている第三者への債務を会社が保証する取引
  • 取締役が負っている第三者への債務を会社が引き受ける取引

例えば、以下のような取引です。

例1:
株式会社Aが、C銀行から借入を受けた取締役Bの債務を保証する場合

(出典:Freepik

例2:
取締役が代理人として第三者の債務を会社に保証させる場合

例3:
株式会社Aの取締役が代表取締役に就いている株式会社Bの債務を株式会社Aに保証させる場合

(出典:Freepik

など

会社の取締役が副業したり、他社でも役員を兼任したりする場合には、この「競業避止取引」と「利益相反取引」に該当していないかどうかの注意が必要です。

 

取締役が副業する上で、会社法に違反しないためには?

前述した通り、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)にて、その取引につき重要な事実を開示した上で、承認を受けることが必要となります。また、取締役会設置会社の場合には、取引後、事後の報告をしなければなりません。(会社法第365条第2項)

重要な事実とは、競業取引の場合、会社に及ぼす影響を判断するために必要な事実であり、具体的には、事業の種類、規模、取引範囲などです。また、利益相反取引の場合には、取引の種類、数量、金額、期間などを特定して株主総会などの承認を得ることが必要となります。

参考文献『株式会社法第6版 江頭憲治郎著』

取締役が副業するにあたって契約する内容が会社法の「競業避止義務」、「利益相反取引」に該当する場合は、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)を必ず行いましょう。

また、今回、取締役が副業を行う時に気を付けるべき「競業避止義務」と「利益相反取引」という2つの制限をみてきましたが、冒頭に記載したとおり、取締役は会社のために忠実に業務を行う義務がありますので(会社法355条 取締役の忠実義務)、副業を頑張りすぎて取締役の本業がおろそかになる。。。なんてことがないように、節度を持って副業をしましょう。

 

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図:「ToDoリスト」ー「株主総会を開催する(非公開会社)」

図:「ToDoリスト」ー「取締役会を開催する」

 

 

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清水 歩 しみず あゆむ

清水 歩

司法書士。東京司法書士会所属。簡裁訴訟代理等関係業務認定会員。千代田法務会計事務所 共同代表。NPO法人事業承継相続研究会会員。登記業務はもとより事業承継、組織再編等の会社法務の相談、相続手続き、一般民事事件など多方面で適格なアドバイスを提供している。