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スタートアップが最低限行うべきマイナンバー対応

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マイナンバーとは、すべての国民に個別の管理番号をつけ、それに基づいて行政が社会保障や税に関する情報の一元管理を行い、また、災害時の対応などを行うという制度です。10月以降、国民に対して順次、マイナンバーの通知が始まっています。

20161月から雇用保険や税の分野を皮切りに、いよいよマイナンバーの利用が始まります。それに先立ち、会社としては何を準備すればよいのでしょうか。

大企業には厳格な管理ルールが適用される一方、中小企業には一定の緩和措置が設けられていますが、それでもマイナンバーの漏えいを防ぐために外してはならないポイントがあります。

そこで、スタートアップ企業が最低限対応しなければならないマイナンバー関連事務を、本稿ではまとめてみました。

マイナンバーの管理に必要な事項は主に下記の6つとなります。

1.マイナンバー事務担当者、責任者の選定
2.マイナンバーの取得
3.マイナンバーの保管
4.マイナンバーの利用
5.マイナンバーの破棄
6.マイナンバーに関する社内ルールの明確化

以下に、それぞれの詳細についてご説明します。

1.マイナンバー事務担当者、責任者の選定

マイナンバー関連事務を社内で円滑に運営するため、また、マイナンバーを不用意に多くの従業員の目に触れないようにするため、事務担当者および、何か問題が発生した場合等に対応をする責任者をあらかじめ決めておきましょう。

事務担当者には、書籍を読ませたり、セミナーに出席させたり、顧問税理士や顧問社労士からアドバイスを受けさせたりなど、会社として可能な範囲でマイナンバーに関する教育の機会を与えたいところです。

2.マイナンバーの取得

まずは、どのような形で従業員からマイナンバーを取得するか、取得方法を決めましょう。

取得方法は大きく分けて、紙で提出してもらう方法と、データで提出してもらう方法が考えられます。

紙で提出してもらう場合は、個人番号カードのコピー、通知カードのコピー、マイナンバーが記載された住民票などの必要書類を、密閉された封筒でマイナンバーの事務担当者に提出するようにします。

データで提出してもらう場合は、個人番号カードやマイナンバー通知書などをPDF化してメールの添付ファイルで送信してもらうことが思いつくかもしれませんが、この方法は、誤送信やウィルス等による流出による恐れがあるので避けるべきです。

では、どうすれば良いかと言えば、「マイナンバー管理freee」や「MFクラウドマイナンバー」といったようなクラウドサービスを契約して、セキュリティに守られた環境で、データによるマイナンバーの提供を受けるようにしましょう。

なお、紙で提出してもらう場合でも、データで提出してもらう場合でも、マイナンバーの取得に当たっては、あらかじめ利用目的を明示することと、本人確認を忘れずに行うことが必要です。

3.マイナンバーの保管

回収したマイナンバーは厳重に保管しなければなりません。

紙で取得した場合は、金庫や鍵付きの書庫に入れておきましょう。

データで取得した場合は、クラウドサービスの中だけで使用し、マイナンバーのデータを自社のサーバーや、個人のノートパソコンなどにダウンロードしないようにしましょう。

この点、マイナンバーの記載が必要な書類を、パソコンを用いてクラウドサービス外(たとえば、ワードやエクセルなど)で作成する場合は、マインバーの部分だけプリントアウト後に手書きにするか、プリントアウト後に完全にマイナンバーの情報を削除した上で保存をするなど、ローカルにマイナンバーのデータが残らないように工夫をする必要があります。

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4.マイナンバーの利用

会社内で、マイナンバーを利用する区画等を決めておく必要があります。

わざわざパテーションを立てて個室を作るまでは必要ありませんが、後ろから覗き見ができない場所でマイナンバー関係の事務を行ったりするなどの配慮が必要です。

マイナンバー用に利用するパソコンも可能であればその区画内だけで用いるようにし、関係のない社員が操作できないようパスワードもかけておきましょう。

また、マイナンバーの情報を利用した場合は、「誰が」「いつ」「どのような目的で」マイナンバーを利用したか、管理帳簿に記録を残さなければなりません。

マイナンバー管理freeeMFクラウドマイナンバーなどのクラウドサービスを使う場合は、クラウド上でマイナンバーを利用したり変更したりしたら自動でログが作成されますので、このログを管理帳簿に変えることが可能です。(クラウド上のデータを目視して申請書類を作った場合などは、別途の記録管理が必要になると考えられます)

5.マイナンバーの破棄

退職した従業員のマイナンバーの保管期限が過ぎた場合など、マイナンバーの破棄にあたっても細心の注意が必要です。

紙で保管していたマイナンバーの資料は、シュレッダーにかけるか、溶解処分をするなど、物理的に復元不可能な方法で処分する必要があります。

マイナンバー管理freeeMFクラウドマイナンバーなどのクラウドサービスでは、消去処理を行うことで、データが完全に抹消されるような仕様になっています。

6.マイナンバーに関する社内ルールの明確化

自社のマイナンバー管理ルールを規程化するところまでは中小企業に求められていませんが、やはり何らかの形で書面化しておくことが望ましいです。

担当者が退職したり、育児休業を取得したりする場合などには、書面化したものが何もなければ、充分な引継ぎがなされないまま後任者が困惑したり、ミスが生じてしまう恐れもあります。

ですから、自社のマイナンバー管理ルールを、書面にまとめたり、フロー化したりして、可視化できるようにしておきましょう。

榊 裕葵(さかき ゆうき)

ポライト社会保険労務士法人 社会保険労務士。上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務後、社会保険労務士として独立。勤務時代、常に経営者の側で仕事をしてきた経験も活かしながら、スタートアップ企業の労務管理体制の構築や、助成金申請の支援を積極的に行っている。